『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)の著者として知られる新井紀子先生による、ビジネスパーソンのための数学講義。AI(人工知能)がますます発展し、DX(デジタルトランスフォーメーション)がさらに進む時代に必要な数学力とは何か? これからの時代を生き抜くための数学力を、どう身につけたらいいのか? ど文系の編集担当(オノ)が、長年の数学コンプレックスを解消するべく、生徒役を務めます。
前回のお話をうかがって思うに、新井先生が問題提起されているのは、「AIを活用する時代に、昔のままの算数や数学の学び方ではいけない」ということなのでしょうか。
新井紀子さん(以下、新井):「問題がこういう感じできたら、こう返せばいい」式の勉強では、これからは難しいでしょうね。
それが耳の痛いところで、私自身、「問題がこういう感じできたら、こう返せばいい」式の勉強で学生時代、何とか数学を乗り切ってきたタイプです。それこそ「チャート式」みたいな問題集を繰り返し解いて、「解法パターンの暗記」をするという……。それが邪道だという自覚はあったんですが、そうしないことには目の前に迫った定期試験や入学試験というハードルを越えられないという現実もあって。
新井:そうですよね。私もそうでした。
なんと! 先生もそうでしたか。新井先生のような本当に数学ができる人は、解法パターンの暗記みたいな邪道なことはしないで、地頭とセンスのよさで解いちゃうようなイメージがあって、憧れるというか、引け目を感じていたのですが。

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