東大模試は偏差値76.2なのに、センター模試は55.5

国立情報学研究所のサイトに、東ロボくんの成績が残っています。2016年に受けた、代々木ゼミナールの論述式模試 「東大入試プレ」の数学(理系)では……6問中4問を完答、120点満点中80点で、偏差値76.2。これはすごい!

 そして同じ年に受けたセンター模試(進研模試 総合学力マーク模試・6月)の成績は……。数ⅠAが、100点満点中70点で、偏差値57.8。数ⅡBは100点満点中59点で偏差値55.5。確かに、こちらは意外と「普通」の成績ですね。

新井:そしておそらく、センター試験に替わって、昨年から始まった「共通テスト」の数学のほうが、苦手だと思いますね。全然できないんじゃないかと思います。

東ロボくんは、センター試験や共通テストの数学の何でつまずくのでしょうか。

新井:それこそ読解力でつまずきます。東大模試の数学とセンター模試の数学では何が違ったのかというと、問題の設定を説明する文章が、センター模試のほうが長かったのです。そして当時のセンター試験の数学よりも、今の共通テストのほうが、さらに圧倒的に問題文が長いのです。

 そこで問題なのが、人間の高校生もまた、東ロボくんと同じように設定の説明が長い数学の問題が苦手だ、ということです。そのために、今年の共通テストの「数ⅠA」の平均点は40点を切りました。100点満点中37.96点で、センター試験の時代を含めて史上最低の点数です。もちろん過去のセンター試験と単純比較できるものではありませんが、これまでのセンター試験や去年の共通テストと比べて、内容的には特段、難しくなったわけではないんです。ただ、問題の設定の説明が長くなっただけです。

受験生が泣きだし、問題用紙を破った「共通テスト」

数学の問題としての難易度は同じだけど、問題文が長い。それだけで、みんなが解けなくなってしまった。

新井:設定の説明が長い問題を解くのは、「チャート式」のような一般的な数学教材で勉強するだけでは、難しいんです。言い換えれば、「問題がこういう感じできたら、こう返せばいい」式の勉強では歯が立たない、ということです。

あああああ、いわゆる「解法パターンの暗記」ですね。私自身、邪道と思いながらも、パターン暗記で中学、高校の定期テストを乗り切ってきたので、耳が痛いです……。で、今年の共通テストの問題は、解法パターンの暗記では太刀打ちできないような問題だった、と。どんな問題だったのでしょうか?

新井:いろいろあったんですよ、問題文が長い問題が。

じゃあ、調べてみましょうか。「共通テスト 数学 2022年」で検索してみると……。うわっ! <数学が終わった直後から、SNS上では「隣の女子受験生が泣きだした」「問題用紙を破っている人がいる」といった悲痛な書き込みが相次ぎました>なんていうニュース記事が出てきましたよ。本当に難しかったんですね。

新井:例えば、ヒストグラムを読み取る問題がありましたよね。

どんな問題だろう……。あ、ネットにありましたよ。こちらですね。

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