日本の技術が他国へ流出しているのはこれまで見てきた通りだ。ウクライナ情勢の緊迫化など国家間の争いが意識され、経済安全保障への関心が高まる中、“だだ漏れニッポン”脱却に向けてどのように取り組むのか。高市早苗経済安全保障相に話を聞いた。

■これまでの連載
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・高市早苗経済安保相に聞く、日本の技術流出をどう防ぐか(今回)

高市早苗(たかいち・さなえ)氏
高市早苗(たかいち・さなえ)氏
経済安全保障担当大臣 1961年生まれ。神戸大学を卒業して松下政経塾へ。93年、衆議院に当選し、総務大臣や内閣府特命担当大臣、自民党政務調査会長を歴任。2022年8月から現職(写真:菊池くらげ)

科学技術の成果を安全保障強化につなげる

日本の技術流出事案が相次いでいます。担当大臣としてどう取り組みますか。

高市早苗経済安全保障相(以下、高市氏):安全保障の裾野が外交・防衛だけでなく、経済分野にも拡大する中、国家・国民の皆様の安全を経済面から確保することが喫緊の課題となっています。

 まず、今年5月に成立した経済安全保障推進法で定められた、①半導体など重要物資の供給網の強靱(きょうじん)化、②基幹インフラの安全性確保、③官民協力によるAI(人工知能)などの先端的な重要技術の開発支援、④特許出願の非公開化という4つの新しい制度の円滑な、そして実効的な実施に向けて準備を進めます。スピード感を持って、産業界とも緊密に連携しながら、取り組みを推進します。

 技術流出防止については、日本の技術的優位性の維持・確保などの観点から重要な課題です。外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく対内直接投資審査の強化や、いわゆる「みなし輸出」管理の強化、留学生や外国人研究者の受け入れ審査の強化、大学・研究機関における研究インテグリティ(健全性・公平性)の確保などを進めます。

技術流出にもつながる可能性がある外国企業の対内投資について、外為法改正などで監視を強化しています。一方、科学技術、産業、安全保障の各政策が国の組織としてもうまく連携できておらず、日本の技術を支える技術者や研究者を、国家安全保障のために生かす体制づくりや、予算がまだ十分ではないとの指摘も出ています。この点、どうお考えでしょうか。

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