化粧品や農産物、畜産物……。高品質が売りのジャパンブランドだが、知らず知らずのうちに海外にだだ漏れしてしまっている事例は後を絶たない。その引き金の一つとなっているのが、「拠点」を取り巻くリスクだ。
■連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります)
・「まさか中国に漏れるとは」 日鉄元技術者の後悔
・次世代太陽電池、ノーベル賞級・日本人開発者も驚く中国の包囲網
・海外勢が羨望 危機迫る「夢の再生医療」iPS細胞を守れるか
・気づけば偽物が“本物”に 脅かされる日本の化粧品や農産物(今回)
・主戦場はサイバー空間へ、国家間の負けられない闘い
・高度化する手口、知財を守り、成長する3カ条はこれだ
・高市早苗・経済安全担当相に聞く、日本の技術を守るには
「品質を保証するサイトにアクセスできるQRコードのシールまでコピーされ、手が付けられなくなった」。こう嘆息するのは、化粧品メーカー、北海道ナチュラルバイオグループ(札幌市)の佐藤公春副社長だ。
同社が道内で製造するスキンケア商品は2015年ごろに中国販売を開始。多くの販売代理店が取引を求めてきた。売り上げは急増したものの、同時に中国の電子商取引(EC)サイト上で偽物が急増。模倣品や類似品と見られる商品が市場の7割近くを占めるようになり、価格も下落した。
この状況を何とか打開しようと、QRコードを貼るなどしたが、模倣品被害は収まらず、中国市場から事実上撤退することにした。「中国系ディーラーが現地の模倣品生産会社と結託していた可能性もある」(佐藤副社長)。海外販売は今、日本の商社経由に絞っている。

海外への技術流出が起きるリスクの一つに「拠点」が挙げられる。製品や事業を成長させようと、海外に進出するのはごく一般的な経営判断だ。その裏返しとして、その地域から技術やノウハウが漏れてしまう危険性も高まる。工場や実店舗といった現物の拠点だけでなく、近年は先述した化粧品のように電子商取引(EC)サイトなど仮想拠点を通じた流出も起きている。
こうした拠点リスクを発端に流出が起きてしまった事例は、日本が誇る農畜産物にも見られる。
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