ものづくりの先端技術から、改良を重ねた農産物の種苗まで、ハイクオリティーを売り物にしてきた日本の知的財産が闇に紛れて流出し続けている。厚待遇による人材引き抜きや、合弁企業を通じた技術移転など、手法は多様化、巧妙化。最近では、サイバー攻撃による技術流出が深く懸念される。“敵”は国家ぐるみで攻めてくる。日本の技術を守る方策を考える。第1回は、巧妙化・高度化する手口に、日本企業が振り回されている現状を見ていく。

■連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります)
・「まさか中国に漏れるとは」 日鉄元技術者の後悔(今回)
・次世代太陽電池、ノーベル賞級・日本人開発者も驚く中国の包囲網
・海外勢が羨望のまなざし、「夢の再生医療」iPS細胞を守れるか
・偽物がいつの間に“本物”に、拠点リスクに身構える国内企業
・主戦場はサイバー空間へ、国家間の負けられない闘い
・高度化する手口、知財を守り、成長する3カ条はこれだ
・高市早苗・経済安全保障担当相に聞く、日本の技術を守るには

 「(韓国鉄鋼大手の)ポスコ側に技術を教えたのは私です」――。

 新日本製鉄(現日本製鉄)八幡製鉄所の技術者として働いていた男性は、静かに口を開き、技術情報を外部に漏らした経緯を詳細に語った。

 日本製鉄は2012年、電力インフラの変圧器などに使う「方向性電磁鋼板」の製造技術情報が盗まれたとして、ポスコとその技術者らを相手取り、提訴した(日鉄とポスコは既に和解)。日鉄側は元技術者4人が情報流出に関与したと名指しした。男性はその一人だ。

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