夏以上にエネルギーが逼迫する懸念が強いのが冬だ。とりわけ、この冬はエネルギー関係者の警戒感が一段と強い。理由は、日本が年間500万~600万トンのLNGの供給を受けるロシアの天然ガス開発事業「サハリン2」からの調達が途絶する可能性があるためだ。想定されるのは2つのケースだ。

■連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります)
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・LNGこの冬が正念場 「サハリン2途絶」2つのシナリオ(今回)
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 「我々は何も失っておらず、これからも失うことはない」。9月7日、ロシア・ウラジオストクで開かれた国際会議「東方経済フォーラム」でプーチン大統領はこう強調した。同フォーラムは、外資の投資を呼び込むためプーチン氏の肝煎りで2015年から開催。だが、第7回となった22年のフォーラムは、対立関係にある欧米中心に外国からの参加者は激減。日本政府も参加を見送った。

 ロシアの資源問題に詳しい石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の原田大輔調査課長は「プーチン氏は披露したかったある案件を発表できなかった」とみる。

英シェルの不参加はプーチン氏の「誤算」

サハリン2で生産されたLNGは基地(奥)からパイプを通じて船に送られる(写真:共同通信)
サハリン2で生産されたLNGは基地(奥)からパイプを通じて船に送られる(写真:共同通信)

 それは、ロシアの天然ガス開発事業「サハリン2」を運営する新会社への英シェルの参画である。シェルは9月頭、新会社には参画しないことを決めてロシア側に通告。何も失っていないと強がるロシアは、実際にはシェルを失っていた。

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