ウクライナ危機や円安などによる燃料代高騰を背景に電気代が跳ね上がっている。2016年の電力小売り全面自由化後、参入が相次いだ新電力による経営破綻も増加。市場の旗振り役だった新電力と契約していた事業者からは悲鳴が上がる。寄付によって新型コロナウイルス禍を乗り切った直後、電気代高騰に見舞われた老舗遊園地を訪れた。
■連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります)
・原発核ごみどこへ、調査開始で分断された北海道の町
・漁業お助けキーマン、38歳核ごみ反対派が力説するその理由
・陸上風力発電のジレンマ 自然エネ開発が自然の脅威となるのか
・新電力の相次ぐ値上げと破綻、電気代2倍に老舗遊園地が悲鳴(今回)
・エネルギーコストが全体の5割も 産業界を押しつぶす負担増
・この冬を乗り越えられるのか サハリン2「途絶」、2つのケース
・流通止まらぬ国富 日本はエネルギー弱者からの脱却を
JR新潟駅から南東へ車で約50分の新潟県阿賀野市。山あいの美しい田園風景のなかを進むと、赤色の三角屋根が特徴的な西洋風の建物が見えてきた。1976年創業の老舗遊園地「サントピアワールド」である。


「電気代が倍になる」との通達が
「電気代は昨年度、約1820万円だったが、『今年度は約3580万円になる』と契約する電力事業者から言われた。値上げ額の桁が1つ違うのではないかと目を疑った。皆さんからの寄付で新型コロナウイルス禍を乗り切ったばかりなのに」。サントピアワールドの高橋修園長はこう嘆息する。
同園は2020年4月、新型コロナの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言で休園に追い込まれた。来園者が激減し、経営が急速に悪化した。資金繰り悪化を救ったのがクラウドファンディング。窮状を訴えると約5500万円の寄付が集まり、事業停止という最悪の事態を免れた。
ところが、今度は電気料金の高騰である。契約していたのは、安さが売りの新電力だ。アトラクションの維持だけでも年間3000万円ほどかかる。高橋園長は、4年ほど前から少しでもコストを下げようと、新電力会社に切り替えた。大手電力会社よりも2~3割安くなった。ただ、新電力は大手よりも価格が安い半面、市場の影響を受けて電気代が高騰するリスクがある。今の電力会社よりも安価に供給を受けられる他の電力会社がないか探したが、見つからなかった。
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