大企業による農業参入は、農業界から脅威として捉えられたり、半信半疑の目で見られたりするケースも少なくなかった。しかし、消費者と豊富な接点を持つ企業と組めば、農家にもメリットがある。ローソンやセブン&アイ・ホールディングスは、効率を追って青果市場に任せていた流通形態とは異なっても、あえて個別の生産者を育てる方向にかじを切っている。

■連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります)
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逆風の国産小麦を救え、敷島製パン盛田社長の奮闘
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「コオロギから機内食」新たんぱく源と環境問題解決の一石二鳥
「愛媛の心」ポンジュースを支えろ、かんきつ総動員戦略
・農業参入の大企業の脅威か味方か、ローソンとセブンの大作戦(今回)
・ブランド化のEC産直、ギリギリの卸売市場
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 「農業は本格的に、法人経営で大きくなる時代に突入している。うちも従業員を2倍に増やしたい」。千葉県香取市にあるローソンファーム千葉を経営する篠塚利彦社長は、サツマイモ畑で青々とした葉を見つめながら語った。

ローソンファーム千葉の篠塚社長は、従業員としての雇用で新規就農者を増やそうと意気込む
ローソンファーム千葉の篠塚社長は、従業員としての雇用で新規就農者を増やそうと意気込む

 このほど地方銀行から融資を受け、1億円超を投じて農場の敷地内に焼き芋工場も建てた。過去10年ほどで農場面積は約10倍の30ヘクタールほどに拡張した。東京ドーム6個分の広さだ。野菜は大根やニンジン、キャベツなども栽培。12人を雇用しており、さらに増員していく予定だ。

 篠塚社長は現在38歳。エレキギターを愛するロックミュージシャンの風貌と攻めの経営スタイルはマッチして見える。しかし、決して放漫経営ではなく、パートナーのローソンと綿密に計画を練っているのが成長の秘訣だ。単位面積当たりの収穫推移や作物ごとの収支など、営農情報はクラウド上で管理。売れ筋商品のデータと突き合わせながら、柔軟に栽培品目も変えていく。

 共同経営の農場をつくろうと持ちかけたのは、ローソンだった。年々消えゆく日本の農家は小売業にも脅威なので、手を取り合う意義は大きい。同社は青果卸に「有望な若手農家はいないか」とたずね、篠塚さんと知り合うことになった。

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 9月30日(金)19時からの第1回のテーマは「2035年、世界の新車6割がEVに 日本が『後進国』にならない条件」。10月14日(金)19時からの第2回のテーマは「欧州電池スタートアップのCTOが現地報告、巨大市場争奪の最前線」です。各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。


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