先進国の中で食料自給率が最低水準の日本は、いかに食料安全保障を構築していけばいいのか。ウクライナ情勢がもたらした農産物の国際市場への影響も含め、元農林水産大臣の江藤拓衆議院議員に話を聞いた。

■連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります)
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・大企業は農家の脅威か ローソンとセブン
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ウクライナでの戦争により、国際的な食料供給網の不透明感が拡大しています。

江藤拓衆議院議員・元農林水産大臣(以下、江藤氏):日本がウクライナから直接輸入している農産物の比率だけを見れば、非常に限られています。しかし、国際貿易ではこのウクライナとロシアの穀倉地帯に頼ってきた国々も多いのです。アラブ諸国が代表的ですが、そうした中東・北アフリカの地で約10年前に起きた「アラブの春」を思い出してください。外国産の穀物相場上昇によって日々の主食であるパンも小さくなり、現地の方々は大変な状況でした。そして政権が倒れるような事態に発展したのですが、食べ物というのはそれほど重大な事案だということを常に考える必要があります。そして様々なルートを通じて日本にも影響をもたらします。

江藤拓(えとう・たく)氏 1960年、宮崎県生まれ。成城大学経済学部卒、2003年の衆議院議員選挙で初当選。農林水産大臣政務官、自民党農林部会長、農林水産副大臣を歴任。第4次安倍内閣で19〜20年に農林水産大臣を務めた。
江藤拓(えとう・たく)氏 1960年、宮崎県生まれ。成城大学経済学部卒、2003年の衆議院議員選挙で初当選。農林水産大臣政務官、自民党農林部会長、農林水産副大臣を歴任。第4次安倍内閣で19〜20年に農林水産大臣を務めた。

 日本はカニ、サケ、イクラ、タラなどの水産物もロシアとの交渉が必要です。さらに食品だけでなく林業でも、ロシア産のカラマツ輸入が滞ることが製材工場の経営課題となっています。

 そしてグローバル市場への影響も見過ごせません。例えば小麦だと日本はカナダなど北米産を主に買い付けています。ウクライナやロシアから調達しづらくなった国々が代替先を求めれば、日本が当たり前のように安定調達し続けられるとは限りません。地球温暖化の影響も顕在化しています。世界第2位の小麦生産国であるインドは、熱波で小麦の輸出を停止する事態に追い込まれ、欧州の大穀倉地帯であるフランスは干ばつに襲われています。

 日本は畜産の飼料であるトウモロコシも海外に依存し、こちらも国際相場は急騰しました。先行きについて不安と焦燥感が強いというのが率直な気持ちです。

自民党は穀物の自給率を高めるべきだと提言をまとめました。

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