コメは日本が自給できる、貴重な食料の1つだ。ところが新型コロナウイルス禍による外食需要の減少は、パンよりはるかに大きなダメージをコメに与えた。諸経費の増加分すら価格転嫁できず、離農が相次ぐという窮地に陥っている。

■連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります)
税金投入で小麦価格維持の矛盾、「9割輸入依存」の痛恨
逆風の国産小麦を救え、敷島製パン盛田社長の奮闘
・「安すぎるコメ、消える農家」大手卸の神明、藤尾社長の焦燥(今回)
・アイリスの大山会長、家電ノウハウでパックご飯増産
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・酪農DXで働き方改革、ファームノート
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・昆虫食、普及のカギは見た目
・サンマ1尾で1万円時代
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・ポンジュースの危機 ミカンが消える
・大企業は農家の脅威か ローソンとセブン
・ブランド化のEC産直、ギリギリの卸売市場
・日本農業の夜明け、3つの提言

 「コメの値段が上がらないと、生産者は活動を継続できない」──。7月27日に農林水産省が開いた食糧部会。そこでコメ卸最大手、神明ホールディングスの藤尾益雄社長はこう主張した。安く買えたほうがもうかるのは商売の基本だが、その逆の要請。大手卸として異例の展開だった。

 後日、その真意を聞きに行くと「このままでは農家が半減し、今まで余るほどあると思われていたコメは不足の時代を迎える」と危機感をあらわにした。

藤尾益雄(ふじお・みつお)氏
藤尾益雄(ふじお・みつお)氏
1965年兵庫県生まれ。芦屋大学教育学部卒、89年神明(現神明ホールディングス)入社。専務取締役などを経て2007年から代表取締役社長。
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