エネルギー分野において「化石燃料の段階的廃止」で合意した主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)。議長国、日本にとって厳しい内容かに思われるが、大きな成果もあった。首脳声明には、ロシア依存からの脱却を念頭に「ガス部門への投資は適切」との文言が入った。ロシアのウクライナ侵略に端を発するエネルギー危機が長期化するとの前提に立ち、世界のエネルギー政策は確実に現実路線へ転換し始めている。

世界のエネルギー情勢は、インドなどの新興・途上国「グローバルサウス」の動向が1つの焦点になる。G7広島サミットでインドのモディ首相と対談した岸田首相(写真:代表撮影/ZUMA Press/アフロ)
世界のエネルギー情勢は、インドなどの新興・途上国「グローバルサウス」の動向が1つの焦点になる。G7広島サミットでインドのモディ首相と対談した岸田首相(写真:代表撮影/ZUMA Press/アフロ)

 「ウクライナ危機に端を発するガス危機は、途上国を含む世界全体の問題になった。放置すれば気候変動対策の目標と逆行する動きが加速しかねない。各国の意識は大きく変わってきている」

 経済産業省資源エネルギー庁の幹部は、日本の訴えが以前より受け入れられていることに手応えを感じている。

 「化石燃料の段階的廃止」はこれまでもG7が取り組んできたものだ。これに相反するかにみえるガス投資が認められた意義は大きい。「ガス部門への投資は、現下の危機及びこの危機により引き起こされ得る将来的なガス不足に対応するためには適切であり得る」。首脳声明にはこう書かれた。

「ガス投資適切」の背景にロシアの存在

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