世界的に経済圏が分断されようとする中、国内回帰、中国から他地域への生産移転など、企業はサプライチェーン(供給網)を見直し始めた。国内集中生産を貫いてきたのが、コンピューター数値制御(CNC)装置で世界首位のファナック。揺るぎない国産哲学の核心に迫るべく、山口賢治社長兼CEO(最高経営責任者)に話を聞いた。
■連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります)
・2ナノ半導体「日本でやるしかない」、ラピダス生んだ辛酸と落胆
・ラピダスの東哲郎会長「日本は諦めすぎ、こんなものじゃない」
・安川電機、ワールド、キヤノン、「国内回帰」の大義は経済安保
・沸騰!九州シリコンアイランド、熊本のTSMC効果は4兆円
・急ピッチ人材育成、大学も高専も「半導体講座」大盛況
・拠点集約でシナジー効果、クボタ、日機装が開発力強化
・仮想空間で営業活動、平田機工、SUBARUのDXは異例づくし
・同じ屋根の下にサプライヤー、SMC、東京エレクトロンの生産改革
・進化するロボット不夜城 ファナックに学ぶ「ぶれない」国産哲学
・ファナック山口社長、「国内での開発・製造一体化が最も強い」(今回)
・「製造業はかつての『日の丸半導体』に学べ」
ファナックは売上高の85%が海外で、グローバル供給網を強化するために消費地生産の戦略を採ることもできました。しかし、これまで海外に生産移転はせず、国内で一極集中生産を続けてきました。国内生産で競争力を保持できている要因は何でしょうか。
![山口賢治[やまぐち・けんじ]氏](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/gen/19/00478/022000051/p1.jpg?__scale=w:500,h:354&_sh=04c0180f10)
山口賢治社長兼CEO(以下、山口氏):ファナックが造っているのは、企業が生産活動をする際に使われる「生産財」であるため、そもそもの物量が少なく、地産地消的な生産ではコストや品質面でメリットがありません。ですから、日本で一極集中生産をしてきました。工場自動化に使われるので、安い労働力を求めて海外生産をしていては、商品の説得力がなくなってしまいます。
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