インフラを維持するためには効率的な管理が欠かせない。保守人員の確保は難しく、AI(人工知能)などを活用した「点検テック」の需要が高まっている。競い合うのは日立製作所や東芝、三菱電機だ。

 連載で見てきたように、愛知県や和歌山県のインフラ問題では「目視」による点検が機能していなかった。そして大阪市の例で分かったように、官民で協力する場合も、限られた予算を有効活用しなければならない。

 こうした問題を解決するため、日立は2021年12月から新たな保守サービスを始めた。狙いは「国内の地下データプラットフォーム」となること。いわば米グーグルのストリートビュー機能の地下バージョンだ。水道管やガス管、通信網など地下インフラを担う団体・企業からの引き合いが強い。

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 日立は自治体やガス会社などから依頼を受け、レーダーを積んだ専用車両で現場に赴くか、または手押しの台車を現場に持って行く。地質調査会社の応用地質と共同開発したシステムで、地中がどんな構造になっているか探査する。得られたデータはAIで解析し、3次元(3D)の画像として可視化できる。

 既に全国28事業体で実証した(無償の実験と有償サービスの合計)。実際の配管の位置との誤差は10~15cm程度に収まり、ビジネスとして成立している。

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