「自発的に問題解決できない風土」

 みずほは社内でシステム障害の原因を究明するため、3月に法律専門家らによる第三者委員会を立ち上げていた。第三者委は坂井氏ら116人にヒアリング調査をかけ、6月15日に公表した報告書で「自ら持ち場を超えた積極的・自発的な行動によって、問題を抑止・解決するという姿勢が弱い」とみずほ全体を手厳しく指弾した。

 報告書は「組織の持ち場を超えて意見を述べ、積極的に連携するなどの行動が高く評価されず、間違いがあれば大きく評価を下げるような企業風土」とも記述し、その指摘はもはやシステム障害という局所的な問題ではなかった。ビジネス界では「組織の心理的安全性」が一つのキーワードになっているが、結果的にこの報告書はその重要さを説く教科書のようにもなっていた。

 企業風土という問題は極めて難しい。システムに問題があれば修復すればいいし、トップに問題があれば人事で替えればいい。ただ、企業風土はどこか一カ所に責任の所在があるわけではなく、長年の積み重ねで培われるものだ。解決策を見いだすのは簡単ではなく、本質論に立ち入ろうとすれば、同調性といった日本人の国民性にまで踏み込む必要が出てくる。

 みずほが2月に引き起こしたATM障害は、システム担当者がトラブルを過小評価して、営業部門は店頭に駆けつけず、経営トップにも報告が上がらないという組織全体の問題ではある。誰もが傍観者のようになってしまう「事なかれ主義」はどこからきたのか。金融庁も行政検査で企業風土の問題に踏み込み始めていたが、そのためにかえって即効性のある解決策は描きにくくなっていた。

度重なるシステム障害の裏には企業風土の問題があった(写真:shutterstock)
度重なるシステム障害の裏には企業風土の問題があった(写真:shutterstock)
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