国は男性の育休取得を推進しているものの、実際には上司の無理解などから取得を断念せざるを得ないケースが多い。大きな壁となっているのが、日本人に根強く残る「男は仕事、女は家庭」という性別役割意識だ。「男らしさ」という無意識の思い込み(バイアス)に縛られ、生きづらさを感じている男性が増えている。

■連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります)
(1)男性育休は怖くない、積水ハウスは4年弱で1000人以上取得
(2)中小企業でも男性育休推進の動き、サカタ製作所は取得率100%
(3)男性育休の普及阻む性別役割意識、「男の生きづらさ」の一因に(今回)
(4)男性学の伊藤公雄・京産大教授 「今はメンズ・クライシス」の時代

 東京都内のIT企業に勤務していた30代男性は2020年、双子が生まれるため育休取得を社長に申し出たが、「うちの会社にそんな制度はない」と一蹴された。育児休業の申請があった場合、事業主は原則として拒否できない。男性は「育休は労働者の権利だ」と主張したが、聞く耳を持たない会社側の態度に、転職を決意した。

女性上司から「なぜ男が?」

 こうした事例は氷山の一角で、育休を打診したことで多忙な部署に異動させられたり、復帰後に降格させられたりする「パタハラ(パタニティハラスメント)」は枚挙にいとまがない。女性上司から「なぜ男が取るのか」と言われる例もある。育休取得の動きは広がりつつあるとはいえ、大半の経営者や管理職は部下の育休取得に難色を示すのが実態だ。

 厚生労働省によると、男性正社員のうち育休取得を希望したものの制度を利用できなかった割合は4割に達し、利用したのは2割にとどまる。日本企業に広く男性育休への理解を浸透させるのは容易ではない。

「男は仕事」という性別役割意識が男性の育休取得の壁となっている(写真:イメージマート)
「男は仕事」という性別役割意識が男性の育休取得の壁となっている(写真:イメージマート)

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