岸田内閣の「新しい資本主義」の重点投資に組み込まれた量子コンピューター。米中を中心に覇権争いが激化する一方で、日本は反転攻勢をかける。その鍵は量子技術の「社会実装」だ。連載第2回はNECと富士通の取り組みを追う。
 1999年に世界で初めて超電導量子ビットの製造に成功したNEC。しかし量子コンピューターの実機開発では米中に先を越された。NECは産業技術総合研究所と、富士通は理化学研究所とそれぞれタッグを組み、国産量子コンピューターの実用化に取り組む。勝ち目はあるのか。

【ラインアップ】※内容は予告なく変更する場合があります
(1)量子技術を社会実装へ 日本の逆転の布石は打たれた
(2)量子コンピューター開発はこれから 諦めないNECと富士通(今回)
(3)量子に会社の将来を懸ける東芝 NTTも標準化争いに名乗り
(4)図解で分かる量子技術 量子コンピューターはどのように計算する?
(5)量子が分かるこの5冊 基礎知識からビジネスアイデアまで
(6)TVCM配信も「じゃらん」検索表示も リクルートが量子で最適化
(7)量子技術で配送コスト30%減 QXで変わる現場を直撃
(8)量子アニーリングでシフトも経路も高速最適化、実用化の動き進む
(9)不正検出や保険引受業務…金融業界でも量子活用 損保ジャパン、SMBC
(10)尾原和啓氏「量子の進化は圧倒的、どう生かすかの想像を」
(11)米IBM研究部門トップ「量子コンピューターは新次元の発明」
(12)「日本の研究者の層は厚い」伊藤公平慶応義塾長・量子検討WG主査
(13)「もうけ続ける仕組み作れ」量子議連・大野敬太郎衆院議員
(14)ケネディ政権の伝統継ぎ米国が量子開発急ぐ、中国の後塵許されず
(15)量子技術が国力を左右する 日本は独自性で存在感を
(動画)1分動画でサクッと分かる 量子コンピューターの世界
(動画)6月27日号特集「量子の世紀」を担当記者が解説

 1999年、茨城県つくば市のNEC筑波研究所で世界初の技術が産声を上げた。超電導回路を使った「量子ビット」の製造に成功したのだ。

 それから20年あまりたつが、NECから量子コンピューターが生まれたという話は聞かない。今はどうなっているのだろうか。

 NECセキュアシステムプラットフォーム研究所の白根昌之・量子コンピューティング研究グループ長は「2年前の2020年に筑波研究所は閉鎖した」と話す。量子ビットの製造成功は大きな第一歩だったが、基礎技術レベルのもの。「量子ビットを動かすことはできたが、動作する時間は非常に短いものだった」(白根氏)。実用に耐えるレベルまでもっていくには長い年月が必要となった。その過程で、予算規模で勝る米中勢に追い抜かれてしまったのだ。

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この記事はシリーズ「量子コンピューター革命~DXの先にあるQX」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。