日本経済を支えてきた製造業の大きな強みは、品質の高さ。それを根底から揺るがす検査不正が今、相次いで発覚している。「業績第一」の風潮や日本経済が停滞する中でのライバル企業との競争激化で製造現場は疲弊。幹部も従業員も風通しの悪い組織内部の同調圧力の中で不正を続けた。このままでは日本品質が危ない。

 特集のラインアップ
イカサマを絶つ はびこる不正、若手官僚も墜ちた悪の道
川崎重工、SMBC日興… やまぬ不正、「組織ぐるみ」で企業に打撃
売り上げの4割「架空」も 成果重視の株主資本主義、企業に重圧
・三菱電機をむしばんだ同調圧力 不祥事が暴く「日本品質」の危機(今回)
・トヨタ車検不正、第一生命19億円詐欺… 再発防止期す企業に学ぶ
・AIが暴く不正会計、監査にDXの波 東芝問題で注目の電子鑑識とは?
・不正が起こるのは経営の失敗、社員「性弱説」で対策を 識者が語る

三菱電機では不正が相次いで発覚している(2021年12月に開いた記者会見、写真:つのだよしお/アフロ)
三菱電機では不正が相次いで発覚している(2021年12月に開いた記者会見、写真:つのだよしお/アフロ)

 「毎年、原低(原価低減)計画を立てて、適切なコスト削減を進めるのが我々の経営方針。その中でこういうふうに不正をやってしまった。これは我々の風土の問題もある……」。今特集の第2回でも触れた検査不正で3度目となる調査委員会の報告書を受け取った三菱電機の漆間啓社長は5月25日の記者会見で、コスト削減が不正のきっかけの一つではと聞かれ、淡々とこう答えた。

 新たに発見した不正は101件。過去分と合わせ累計148件に達した検査不正は、鉄道車両に使うブレーキ装置、制御機器などについて、顧客と合意した振動耐久試験を実施せず、虚偽の試験成績書を作成して提出していた伊丹製作所(兵庫県尼崎市)のような例が典型だった。しかも、検査の一部が遅くとも1972年ごろから実施されていなかったように、長期にわたって続いていた例が珍しくなかった。

[画像のクリックで拡大表示]

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り3533文字 / 全文4306文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「イカサマを絶つ」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。