数多くの企業が不祥事にまみれ、中には株式市場から退出させられたり、経営危機に瀕(ひん)したりする企業もある。それでも不正はなくならない。特集「イカサマを絶つ」3回目となる今回は、この20年、急速に広がった株主資本主義と成果主義に着目する。市場が迫る「業績第一」の重圧や、それが形を変えて従業員にのしかかるプレッシャーが人や組織を悪の道へと追い詰める。

 特集のラインアップ
イカサマを絶つ はびこる不正、若手官僚も墜ちた悪の道
川崎重工、SMBC日興… やまぬ不正、「組織ぐるみ」で企業に打撃
・売り上げの4割「架空」も 成果重視の株主資本主義、企業に重圧(今回)
・三菱電機をむしばんだ同調圧力 不祥事が暴く「日本品質」の危機
・トヨタ車検不正、第一生命19億円詐欺… 再発防止期す企業に学ぶ
・AIが暴く不正会計、監査にDXの波 東芝問題で注目の電子鑑識とは?
・不正が起こるのは経営の失敗、社員「性弱説」で対策を 識者が語る

株価上昇の裏側で、株主資本主義や成果主義が日本の産業界に急速に広がった(写真:つのだよしお/アフロ)
株価上昇の裏側で、株主資本主義や成果主義が日本の産業界に急速に広がった(写真:つのだよしお/アフロ)

 「もう3割(増)を割ると機関投資家が許さん。ミニマム3割だ!」

 不正会計を繰り返した揚げ句、2月末に東京証券取引所1部(当時)から上場廃止となったグレイステクノロジー。創業者で不正が発覚する前の2021年4月に病死したA氏(当時会長)はここ数年、会社幹部を相手に社内でしばしば怒声を上げていたという。

 冒頭の言葉は、20年2月14日の経営会議・取締役会でのもの。「3割」とは前期比の売上高と利益の成長率目標だ。3月期末を目前に控え、達成しなければ機関投資家に相手にされなくなると叫んでいたのである。

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