たとえ個人の悪事であっても所属先の企業や組織に大きなダメージを与える。監督責任や不正をチェックできなかった内部統制の不備が問われるためだ。ましてや、不正行為により多くの人間が関与し、「組織ぐるみ」「会社ぐるみ」と受け止められる事態ははるかに深刻の度を増す。この春以降だけでも、川崎重工業や日野自動車などで不正が発覚した。企業イメージやブランド価値を毀損させる重大事態になりかねない。
特集のラインアップ
・イカサマを絶つ はびこる不正、若手官僚も墜ちた悪の道
・川崎重工、SMBC日興… やまぬ不正、「組織ぐるみ」で企業に打撃(今回)
・売り上げの4割「架空」も 成果重視の株主資本主義、企業に重圧
・三菱電機をむしばんだ同調圧力 不祥事が暴く「日本品質」の危機
・トヨタ車検不正、第一生命19億円詐欺… 再発防止期す企業に学ぶ
・AIが暴く不正会計、監査にDXの波 東芝問題で注目の電子鑑識とは?
・不正が起こるのは経営の失敗、社員「性弱説」で対策を 識者が語る
具体的な事例に踏み込む前に企業や官公庁で起きる不祥事について改めて簡単に整理しておこう。不祥事は「資産の流用」「不正な報告」「汚職」の3つに大きく分類できる。資産の流用であれば、さらに会社の資金そのものに手を付ける「横領」などと、金銭以外の財産で見返りを得る「情報漏洩」などに分かれる。
ここのところ名の通った大手製造業で目に付くのが、非財務関連の「不正な報告」と位置付けられる検査不正だ。本来、国などの定めや顧客との取り決めに沿って品質を検査すべきところ、コスト削減や納期短縮のために検査を簡略化するなどし、外部に提出する書類は正しく検査したかのように改ざんしていたというケースが多い。
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