「値上げの春」はいつの間にか夏を迎えたが、食料品の値上げラッシュはとどまることを知らない。マヨネーズやポテトチップスなど、2022年内だけで複数回の値上げが発表された食品も出始めた。背景にあるのは食用油の価格急騰。一部の企業は油に頼り切らない商品の開発や販売促進に注力するなど、戦略の転換を試みている。

値上げが相次ぐ食用油。植物油を原料などに使う食料品の価格にも影響が及んでいる(写真:吉原秀樹/アフロ)
値上げが相次ぐ食用油。植物油を原料などに使う食料品の価格にも影響が及んでいる(写真:吉原秀樹/アフロ)

 「値上げをしても、それを超えるスピードで原材料価格が高騰している」ーー。ある食料品大手の関係者からは嘆きの声が聞かれた。昨今の食料品の値上げラッシュの中でも、特に複数回の価格改定を繰り返しているのが食用油だ。

 日清オイリオグループやJ-オイルミルズは家庭用・業務用の食用油を7月納品分から値上げしているが、これは2021年以降で実に6度目の値上げとなる。J-オイルミルズは7月からの値上げで、大豆油や菜種油は1kgあたり60円以上引き上げており、これは過去最大の値上げ幅になるという。

 事実、食用油の高騰は尋常ではない。総務省の小売物価統計調査によると、21年6月時点で292円だった東京都区部の食用油の小売価格(1本・1kg)は、1年で38%も上昇。22年6月には402円となった。

 食用油の主原料となる大豆や菜種などの原料相場は足元で一服感が見られるものの、先行きの不透明感は強く、予断を許さない状況が続いている。加えて、脱炭素の潮流を背景にバイオ燃料向けでも植物油の需要が膨らんでいる。

 そこに輪をかけたのが、ウクライナ危機だ。世界有数の穀倉地帯の危機に、耕作地の地図が書き換わるかもしれない。ある業界関係者は「小麦やトウモロコシの高騰を背景に、大豆や菜種の主要生産地である北米では、植物油の原料栽培から小麦などの穀物に切り替える動きがあると聞く」と明かす。

 世界で大豆や菜種の生産量が低下するようなことがあれば、食用油のさらなる高騰は自明の理だ。J-オイルミルズの広報担当者は「ウクライナ危機の紛争地域では来年以降も作付けできないリスクがある。価格高騰のトレンドは先行きが見えない」と嘆息した。

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