ファーストリテイリング傘下のカジュアル衣料品店「ユニクロ」が秋冬向けの一部商品を値上げする。素材高や円安の影響で値上げは避けられない状況だった。しかし、2021年3月に実施した「一律約9%の実質値下げ」が今回の値上げの背景にあるとの声も聞かれる。

ファーストリテイリング傘下の「ユニクロ」は2022年秋冬向けの一部商品を値上げする(写真=Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
ファーストリテイリング傘下の「ユニクロ」は2022年秋冬向けの一部商品を値上げする(写真=Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 6月上旬、ファーストリテイリング傘下のカジュアル衣料品店「ユニクロ」が発表した「一部商品の値上げ」が世間をざわつかせた。対象となったのは2022年秋冬向けの一部商品で、「フリース」や長袖の機能性下着「ヒートテック(極暖)」など。ファストリは4月の決算説明会で「値上げの検討」を表明していたものの、今回はその値上げ率が注目された。

 フリースの価格は1990円から2990円と1.5倍になる。ヒートテック(極暖)は1500円から1990円で1.3倍、「ウルトラライトダウンジャケット」は5990円から6990円で1.16倍と商品によって値上げ率は異なるものの、売れ筋商品の価格を大きく改定した形だ。

 値上げの背景には、原材料費や物流費の高騰に加え、主要通貨に対して急速に進む円安の影響などが複雑に絡み合う。ユニクロは値上げに合わせて商品力を強化。リサイクル素材の使用比率を上げたり、機能性を向上させたりするなど、素材や機能の見直しによって価格改定による顧客離れを防ぐ考えだ。

 クレディ・スイス証券の風早隆弘シニアアナリストは今回の値上げについて、「21年3月に全商品を一律で約9%値下げしたことも影響しているのではないか」と指摘する。ファストリは21年4月からの消費税の総額表示(消費税込みの価格表示)への義務付けに先駆けて、税別価格を税込み価格とした。これにより実質的に約9%の値下げとなったものの、期待したほど客数は増えなかった。

 国内ユニクロ事業の売上収益は21年8月期に8426億円。そのうち約9%の値下げとなれば、760億円ほどの減収要因となる。同社の粗利益率が約50%であることを勘案すれば、約380億の減益要因を抱えている状態だ。そこに原材料費や運送費の高騰が加わったことで、値上げによってコスト高を吸収する必要が出てきたと見られる。

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