米テスラは2022年9月30日、技術説明会を開いてヒト型ロボット「オプティマス」のプロトタイプ(試作品)を公表した。労働現場での危険な作業や単純労働を担うオプティマスは、自家用車よりも安価な2万ドル(約290万円)以下での販売を目指す。学生や技術者を招き、先進技術を説明したイベントは、若き才能を魅了する“採用活動”の機能も果たしている。

米カリフォルニア州パロアルト市にある米テスラの拠点。以前は米ヒューレット・パッカード(現HP)の旧本社があった
米カリフォルニア州パロアルト市にある米テスラの拠点。以前は米ヒューレット・パッカード(現HP)の旧本社があった

 黒地に「イベント」と書かれた看板の奥に車やバスが吸い込まれていく。ここは米国カリフォルニア州パロアルト市。かつて米ヒューレット・パッカード(現HP)の旧本社があった区画に、米テスラの拠点がある。建物からは紫色の照明が漏れ、重低音の音楽も聞こえてくる。

 「ここに来ることができて、エキサイティングだ」。入り口前の案内看板を見ていた5人組の若者グループに声をかけると、地元の名門スタンフォード大学でコンピューターサイエンスを専攻する21歳の学生だという。「テスラのように専攻分野が生かせる場所で働きたい」。そう話すと、乗ってきた自転車を会場の中へ走らせた。

米テスラは技術説明会「Tesla AI Day 2022」で、ヒト型ロボット「オプティマス」のプロトタイプを公表した
米テスラは技術説明会「Tesla AI Day 2022」で、ヒト型ロボット「オプティマス」のプロトタイプを公表した

 敷地内では学生や技術者を招いた技術説明会「Tesla AI Day 2022」が開かれていた。報道陣はシャットアウトされ屋内に入れない。筆者はインターネット中継でイベントに参加した。冒頭に、人間のように2本の足で歩くロボットが登場した。ゆっくりとした動きではあったが、自立歩行する様子をみせたのはヒト型ロボット「オプティマス」だ。

 5本の指と28の関節、胸部には1日駆動できるバッテリーパックと、周囲を認識して動きを制御するコンピューターを備える。同社のイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は、「最終的には数百万台を生産し、価格は車よりも安くなる。2万ドル(約290万円)以下が私の目標だ」と説明した。

 低コスト化を実現する秘策が、同社が市販する電気自動車(EV)との部品共通化。EVで使うコンピューターやバッテリーパックをオプティマスに搭載して製造コストを下げる。「3~5年以内にはオプティマスを市販できるだろう」(マスク氏)との見通しだ。

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