前回の「ある程度見通せる未来から官民共創のヒントを探る」では、不確実性が高まる今だからこそ、見通せる未来について考える重要性について書いた。

 自治体の財政状況は、官民共創を考える上でも非常に重要なポイントなので、もう少し続けよう。多くの人が知っているように、今後日本の人口は急速に減り続ける。さらに要なことは、急速な人口減少が急速な高齢化と少子化を伴って進行するということだ。

 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(2017年推計)」(出生中位・死亡中位)では、労働力の中心となる15~64歳の生産年齢人口は30年に6875万人と、10年の8103万人から1228万人(15.2%)減少する。30年に14歳以下の若年人口は1321万人と10年比で359万人減り、65歳以上の高齢者は3716万人と同年比で791万人増える。つまり、担税力の高い世代と、次の時代に税を負担する子どもはどんどん減少していき、高齢化が進んでいく。

 総務省が17年に立ち上げた「自治体戦略2040構想研究会」の資料には人口減少に関する赤裸々な数字が載っている。同研究会の報告書では、人口が50万人以上の基礎自治体で40年の人口が15年と比べて1~2割減少する自治体として、政令指定都市だけでも仙台市や神戸市、新潟市、静岡市、堺市、北九州市と6つの都市の名前が挙がっているほか、松山市(愛媛県)や鹿児島市(鹿児島県)など県庁所在地の都市ですら、ここに分類される自治体がある。

 もっと驚くのは、これが地方都市だけの減少ではなく、東京都ではベッドタウンである八王子市、23区だと足立区もここにカテゴライズされている。人口が20万人以上50万人未満の自治体に対象を広げると、富山市(富山県)や長野市(長野県)、岐阜市(岐阜県)、津市(三重県)、和歌山市(和歌山県)、奈良市(奈良県)、高知市(高知県)と県庁所在地の自治体がごろごろと、1~2割減少ゾーンに入っている。40年までに人口が4割以上減る自治体の市町村数は424。2~4割減で見ると711の市町村となる。その多くは人口が数万人以下の市町村であるため、日本の人口が半減するわけではないものの、現状の延長線上に未来をデザインするのは難しいことが分かる。

人口ボーナスは、もう生じない

 この構造は、今後も逆回転することはない。理由は、戦後すぐに生まれ、最も人口の多い団塊世代(1947~49年生まれ)の子どもたちで第2次ベビーブームとなった団塊ジュニア世代がすでに40代に突入しているからだ。社会デザイン研究者の三浦展氏は団塊ジュニア世代を、71~74年生まれの「ニセ団塊ジュニア世代」と、75~79年生まれの「真性団塊ジュニア世代」の2種類に分類している。国の政策の失敗も手伝って、これらの世代が社会に出るころはバブル崩壊後の就職氷河期で就職率が60%台と低く、非正規社員の多い、いわゆる「ロスジェネ世代」とも呼ばれている。日本の社会構造は社会人の入り口で正社員にならないと、その後正社員になるのは難しいこともあり、今日に至るまで問題をひきずっている。

 団塊世代の次に人口の多い団塊ジュニア世代は本来、その子どもたちの世代に人口のボリュームゾーンを再度つくれる可能性を秘めていた。だが、就職氷河期にぶち当たり、晩婚化と少子化が加速する中で40代に突入してしまった。これが、この国の不幸なところかもしれない。日本の人口構造の中で最後のボリュームゾーンにある世代が40代に入ったことで、今後仮に出生率が向上したとしても人口の減り方は加速していくことになる。子どもを産む中心となる年代の母数が少ないからだ。担税力の高い世代の減少による自治体財政への影響は、これからの10年、20年で顕著に表れるだろう。

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