6つの枠組みの答え合わせ

 先にあげた例で言えば、(1)に関しては、自分自身の理解度を確認しながら読むとよいということを知らないのか、理解度を確認することなく、ただ漫然と読んでいる。また、わかりにくい箇所、難しいところはしつこく繰り返して読むとよいということを知らないのか、「何だかよくわからないなあ」と思いながらサラッと通り過ぎていき、そこに戻って読み返すということもない。

 (2)に関しては、意味を考えながら覚えようとすると記憶に残りやすいということや、具体的なイメージを膨らますと記憶に残りやすいということを知らないのか、何でもただ丸暗記しようとする。テストの直前なら多少はうまくいくこともあるかもしれないが、丸暗記では長期にわたって記憶を維持するのは難しい。

 (3)に関しては、頭の中に思い浮かぶ考えを図解するとわかりやすく整理できるということを知らないのか、図解せずに、頭の中だけで考えをまとめようとする。ビジネス上のプレゼンテーションでは、パワーポイントで図解を示すことが多いが、それは図解すると思考の流れがよくわかるからだ。

 (4)に関しては、宿題にしろテストにしろ、問題を解いた後は検算をすればうっかりした誤答を防げるということを知らないのか、解きっぱなしで検算をしようとしない。検算をすることで不注意によるミスの多くを防ぐことができるのに、それを怠る。

 (5)に関しては、抽象的な概念は日常生活にあてはめて具体例を考えると理解しやすいということを知らないのか、ただ説明を鵜呑(うの)みにして覚えようとするだけで、日常生活にあてはめて考えるということをしない。日常生活の具体例にあてはめて理解することで、心から納得でき、生きた知識になっていく。

 (6)に関しては、ながら学習だと上の空になり、ほとんど頭に入らず、理解にも記憶にも支障が出るため、いくら勉強しても身にならないということを知らないのか、平気でながら学習をして、ちゃんと勉強したつもりになっている。

 何らかの作業に取り組んでいるとき、テレビの音声が聞こえてきて気が散り、能率が落ちて困るといった経験をしたことがあるのではないだろうか。それはテレビの音声に反応する部分が心の中にあり、認知能力の一部がそれに費やされ、作業に振り向けるべき認知能力が十分でなくなるからである。ながら学習でも、似たようなことが起こっていると考えられる。

日経BOOKプラス 2022年7月27日付の記事を転載]

自分で学んでいく力がある子、それが乏しい子

「間違った問題の見直しが苦手」「何でも丸暗記する」「いつも感情的だ」――。勉強してもなかなか結果が出ない子どもには、それなりの理由があった。教育界でひそかに浸透しつつある「メタ認知」をテーマに、その真相に迫る。

榎本博明(著)/日本経済新聞出版/990円(税込み)

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