あなたにはダイエットや勉強など、した方がいいと分かっているのにどうしてもできないことはありませんか? それは、怠惰だからでも、意志が弱いからでもありません。人間には、目の前にある「嫌な感情」から反射的に逃げる癖があるからなのです。新刊『感情戦略』から、感情がいかに私たちの成長を妨げるかについて、一部を抜粋し、紹介します。

やればプラスになることをできないのには、必ず理由がある

 人生で何よりもあなたを一番抑え付けているのは、他でもないあなた自身です。あなたには、やればプラスになるのに、どうしてもできないことはありませんか? それはダイエットや勉強、夢のための努力、あるいはお酒をやめることや、誰かとの縁を切ることかもしれません。

 例えば、今回こそはダイエットしようと思っているのに、ついお菓子を食べてしまい自己嫌悪に陥ったり、「今日くらいはいいか」と思ってしまったりすることには、ほぼ間違いなく自己破壊の力が作用しています。

 大げさだと思われるかもしれません。しかし、努力してもなぜか無意識のうちにやめてしまったり、不快感にさいなまれたりするのであれば、自分で自分をダメにする力が働いているのです。

 自己破壊的行為とは自分のためにならないようなことをなぜかしてしまったり、やらなければならないことをつい先延ばしにしたり、見ないようにしたりすることです。これは、意志の弱さの結果のように思えます。でも実際の理由は、まったく別のところにあります。あなたに、無意識下の「思い」があるからです。意志が強い、弱いという問題ではないのです。

 自己破壊的行為を克服するには、心理面を深く掘り下げる作業が必要になります。トラウマとなった出来事を見つけ出し、整理されていない感情を解放し、心の知能指数や、打たれ強くあることといった基本的な能力を育てる必要もあります。

感情は反射的に理性を抑える(写真:Shutterstock)
感情は反射的に理性を抑える(写真:Shutterstock)
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