効果的なメロディーをつくるために必要な6つの要素
前回のソニックブランディングの有益なケーススタディとしてマスターカードの取り組みを紹介しよう。私たちは、30秒のメロディー制作を手始めに、包括的な音のブランド価値構造をつくっていった。このメロディーがソニックブランドの中核的DNAであり、音符を連ねて、何よりとても楽しいメロディーに仕上がった。
メロディーづくりの要件は以下のとおりだ。
●覚えやすさ
●口ずさめる
●中立的(ニュートラル)
●文化を超えた多様性
●あらゆる音楽ジャンルに適用可能
●あらゆる状況に適応する
これらの点を音楽制作会社に伝えたときの彼らの表情を、私はいまでも覚えている。あっけにとられた彼らの反応こそ、まさにプライスレスだった!
それから2年におよぶミュージシャン、音楽学者、作曲家、スタジオ、複数のアーティストたちとの集中的な作業を経て、メロディーが完成した。6つの要件を踏まえてつくられたこのメロディーは、マスターカードのすべての広告で使われている。BGM的に聞こえるときもあれば、主役になることもある。あるいはマスターカードのイベントやフォーラムで流れる。マスターカードのオフィスに電話をかけると、保留音の代わりに聞こえる。着信音も制作した。文字どおり何十ものパターンもつくり、誰でもダウンロードできるようにしている。
マスターカードのメロディーは、かなりの回数のテストにかけてきた。それは神経科学の観点からその有効性を確認するためであり、「感情に訴えかける」という結果を得た。つまり、世界のどの地域でも、どんな状況でも、人々はこのメロディーに親しみを感じ、好きになれる。いつどんな状況で聞こえてきても、違和感なく受け入れてもらえるものになった。
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