つくったメロディーを3つの「長さ」で使い分ける

 「メロディー」がブランド価値構造における第1の、そして基礎的レベルである一方で、メロディーの一部を取り出したシグネチャーと呼ばれる3秒間の短縮版がある。「ソニックシグネチャー」の最たる例の一つはインテルのそれだ。どの広告も、最後にあの非常によく知られた音が流れて終わる。

 マスターカードのソニックシグネチャーがユニークなのは、メロディーから派生したということだ。根本のメロディーと強く関連づけ、それによってソニックメロディーとの相乗効果を上げることで、マスターカードのソニックアイデンティティーはより強化される。マスターカードの広告はすべて、このソニックシグネチャーが流れて終わる。これがソニックブランディングの第2レベルだ。私たちはこれが聞こえる機会をできるだけ増やそうと考えた。例えば、会社のPC機器はすべて、起動時にソニックシグネチャーが流れる。

 それから、第3レベルがある。ソニックメロディーのさらなる短縮版で、尺にして1.3秒ほどだ。これは、マスターカードとの物理的な、そしてオンラインのやり取りが行われるすべてのポイントに組み込まれている。私たちはこれを「アクセプタンスサウンド」と呼ぶ。決済が完了するたびに、消費者はマスターカードの再確認音を聞くというわけだ。本書を執筆している時点で、マスターカードのアクセプタンスサウンドは世界中の5000万を超える決済ポイントに導入済みで、今後もその数はどんどん増えていくだろう。

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