いつまでも上司や顧客のOKが出ない。やたらと仕事の手戻りが発生する。グダグダな議論が続く……職場でよくあるこんな悩みを解決するのが構造化思考アプローチ。MBAでも学ぶスキルで、問題解決のプロがやっている手法だ。今回は、書籍『構造化思考トレーニング コンサルタントが必ず身につける定番スキル』より、構造化思考の対極にある「場当たり的アプローチ」が発生するメカニズムについて見ていきたい。

新人営業がやりがちな方法

 構造化思考を用いたアプローチの内容に入る前に、対(つい)の概念といえる「場当たり的アプローチ」について、まずは具体例を用いながら説明したい。
 仮にあなたが小売店を顧客とする中堅総合商社(XY商事)の新人営業だったとしよう。あなたの上司から「今後の営業先へのアプローチのために、営業先リストを作成してほしい」と頼まれたとしたら、どうするだろうか。

 場当たり的アプローチでいえば、こんな感じである。

「まず、外部のデータベースを使って当支店担当エリアに所在する企業を一覧化しよう」

「この際に、営業を行うのが前提となるので、電話番号も一緒にデータベースから引っ張ってこよう」

「あと、実際に訪問する可能性もあるので、住所も記載しておこう」

 こうして、早々にリストを作って、颯爽(さっそう)と上司に報告する、といった感じである。

「やり直せばすむ」問題ではない

 このリストが上司のイメージと合致していればよいが、残念ながら必ずしもそうはいかない。

 上司から「営業効率を考えて、企業規模と業種の情報はリストに加えておいてほしい」といわれ、改めて同じデータベースから企業規模と業種についても情報を抽出し、リストに追記する。

 その後、改めて上司に提出した段階で、「新規顧客へのアプローチなので、既存顧客は対象から外したいのだけど、既存顧客との重複はない?」とリクエストされ、内心「先に言ってくれよ……」と思いながら、既存顧客リストをもとに作成したリスト内の企業との重複を確認しようとする。

 そこまできて、既存顧客リストの作成元であるデータベースは別のデータベースであり、企業名などをもとに作成した、今回のリスト上の企業との紐づけが難しいことに気づき愕然(がくぜん)とする。
 目で見て確認・紐づけていくことも既存顧客が数百社あることから難しく、結局、ため息をつきながら、別データベースを活用して最初から作業をし直す……こんな顛末(てんまつ)である。

 この例は、単にやり直せば解決する問題でもあるが、仕事が複雑になってくると“やり直せばすむ”といった単純な話ではなくなってくる。

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