「創造的少数派」の突破力が鍵に

福井:日本の組織は以前からある型を時代の変化に合わせないといけない。でも、実際に企業を変えるとなると、どこからやればいいのでしょう?

ピーダーセン:人事部がいいかもしれません。例えば、リクルートスーツが定番の型である採用面接を私服面接にすることからでも組織の変革は始められます。

 人事は会社を引っ張る次世代の人材を選ぶという点においても、変化のきっかけを一番生み出しやすい部署です。いうなれば、社内で「クリエイティブマイノリティー」として組織に風穴を開けるのが人事の役目だということです。 この考え方を歴史家のアーノルド・J・トインビーから学びました。

福井:人事部というと、今の会社に合うかどうか、価値観が一致するかどうかばかりを見ているイメージがありますが、変化を一緒に起こしてくれそうな人を見つけることこそ大事だということですね。

 でも実際、この考え方を会社に取り入れようとすると、多数派(マジョリティー)、つまり型が染みついている社員に変化を抑え込まれてしまう。そうなると、創造的少数派が自分たちの意見や考えを組織に反映するのは難しいのでは?

ピーダーセン:普通に考えると少数派が圧倒的に劣勢ですが、組織が存続できるかどうかは、この創造的少数派が多数派を突破して、新しい多数派になれるかどうかにかかっています。

 福井さんもパーパスを会社や組織だけではなく、個人に持ってもらうという新しいメソッドを提唱しているので、創造的少数派になりますね。

福井:私もパーパスで社会に風穴を開けられたらいいなと常に思っていますが、型を壊すには創造的少数派が不可欠なんですね。

ピーダーセン:最近は日本の企業でも少しずつ変わってきている事例があります。まだまだ少数派ではありますが。

福井:例えば、どのような会社ですか?

ピーダーセン:私がお手伝いをしている丸井グループは、会社自体がパーパスドリブンに変わってきています。

 青井浩社長は10年程度前から、徐々に「手挙げ」の文化を意識し、企業カルチャーの改革に取り組んでいます。それが最近はかなり浸透し、まずは何でも「やりたい人は集まれ!」と呼びかけるようにしたことで、経営に関する議論や対話はもちろん、新規プロジェクトなどでも自ら手を挙げる人が増え始めました。

福井:社員がパーパスを持つこともそうですが、それを素直に表現できる組織も大切ですね。

ピーダーセン:組織も個人もパーパスを大切にするという変化があり、丸井では3年離職率が日本の産業界平均の約3分の1になりました。

福井:不安ではなく、「やりたい」という気持ち、パーパスが原動力になる。そんな社会の実現は、企業の取り組みが起点になるかもしれませんね。

ピーダーセン:パーパスが原動力になる社会を実現できれば、一人ひとりのエンゲージメントも高まります。そんな社会を一緒につくりたいですね。

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(後編に続く)

文・構成=幸田華子(第1編集部)

日経BOOKプラス 2022年7月21日付の記事を転載]

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