文化的特性がネックになる面も

ピーダーセン:日本人がパーパスを持てない理由は、自己肯定感の低さや将来に対する不安以外にも文化的特性があると思います。

福井:文化的特性ですか?

ピーダーセン:はい。日本文化には、「道」や「型」という非常に興味深い価値観や国民性があります。日本の伝統芸能である茶道や華道には「道」の字が入っていますし、剣道や柔道には「型」が存在していることから、文化として根付いていることが分かります。

 道や型は芸能、武術そのものだけでなく、そこに宿る精神を正しく引き継ぐという役割があります。また、基礎を共通化するということも、大事な役割です。それと同様に日本の社会や組織においても道や型は非常に深く根付いており、それを踏襲すべきだという考えが強く残っている印象があります。

福井:実際に「会社になじむ」という言葉がありますし、新型コロナウイルスの流行前まで当たり前だった毎日の出勤やスーツ着用もピーターの言う型かもしれません。

ピーダーセン:そうです。道や型は伝統継承の基盤となる半面、変化が必要なときには弱みになってしまうという特徴があります。最近、朝の通勤ラッシュが戻りつつあることも、出社という型に戻ろうとする力が強く働く例だと思います。

 あからさまに変化を妨げようとする人を日本ではあまり見たことがありません。一方で、会社の伝統や歴史的な観点が型となり、それを守ろうとする力が強いが故に変化を生むのに苦労している会社は比較的よく見ます。

「コロナ禍前まで当たり前だった毎日の出勤も、型の1つかもしれない」と語る福井氏
「コロナ禍前まで当たり前だった毎日の出勤も、型の1つかもしれない」と語る福井氏
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