本来の価値を失った「表面的なサステナビリティー」
斉藤徹氏(以下、斉藤):最近はSDGs(持続可能な開発目標)という言葉を聞く機会が増えました。
これまで日本企業の多くは「儲(もう)ける」ということに過剰に注力し、一方で環境問題や働き方をはじめとする様々な問題が後回しにされてきました。少しずつは変わってきていると思いますが、それでもいまだに数字至上主義からは脱却できていないように感じます。
福井崇人氏(以下、福井):その実感は確かにありますね。SDGsの潮流をはじめ、社会が大きな変化の中にいるのに、組織も個人も変化しきれていない印象を私も持っています。
斉藤:組織のあり方という点でも、100年前と同じ方法論でマネジメントが行われています。「統制型」といわれる、業務の標準化と管理専門部署による計画・管理による組織マネジメントです。
福井:一方で「パーパス」、その組織の存在意義や目指すものが掲げられるケースも増えていますね。これまで言われてきた「ミッション・ビジョン・バリュー」を飛び越えた概念としてのパーパスが、経営の分野でトレンド的に広まっているのも感じます。
斉藤:組織においては、パーパスが根幹にあり、一人ひとりがやる気を持ちつつ、自走していく形が望ましいですね。
福井:斉藤さんの新刊『だから僕たちは、組織を変えていける』でも、「自走する組織」の重要性が強調されていました。
斉藤:はい。組織における優先事項が数字から人へシフトして、一人ひとりが「しなくちゃ」ではなく「しよう」「したい」というメンタルを持つことが大切です。
福井:「しよう」「したい」という思いがあれば、「SDGs」も「パーパス」も一過性のものではなく、私たちの日常に根付いて持続していきそうですね。
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