霞が関では働き方改革だけでなく、官僚の「働きがい改革」も急務だ。自分の担当領域以外の仕事に業務時間の20%を使える制度が、農林水産省で導入されている。そこから生まれた成果とは。

今後のラインアップ
霞が関人材クライシス 若手官僚はなぜ辞めるのか
脱「ブラック霞が関」へ 見え始めた働き方改革の成果と課題
「個の犠牲」に頼らない霞が関を 立ち上がる民間出身官僚
河野太郎氏「霞が関に人材が集まらないことの実害は出始めている」
・官僚だってやりたい仕事がある 2割の時間を「本業外」に(今回)
・現役官僚の覆面座談会「同窓会で給料の話になったらトイレに行く」
・農水省発、官僚YouTuberの挑戦 「等身大の霞が関」を国民へ
・霞が関を出て光る大局観と課題解決術 企業と日本の活力に
・総務省出身のDeNA岡村社長「官僚の総合力、企業経営で生かせ」

 地図アプリ上でエリアを指定すると、違法伐採の有無や災害による森林の減少が自動で示される──。

 これは林野庁による伐採把握プログラム「FAMOST(ファモスト)」で、2022年度から自治体向けの本格運用が始まった。開発したのは農林水産省の若手・中堅メンバー。本業とは異なる事業も打ち出せる同省の「政策オープンラボ」という枠組みを使った。

森林減少を自動で検出(赤いエリア)
森林減少を自動で検出(赤いエリア)
●地図上で森林の状況を自動検出するアプリ 出所:林野庁によるGoogle Earthを活用したFAMOSTプロジェクト
[画像のクリックで拡大表示]

 リーダーとなった熱田尊さん(08年入省。現在は出向先の農林中央金庫営業企画部の部長代理)は4年前、農水省の大臣官房文書課にいた。「既存の部署のみでは出しづらい政策もある」と思っていたところ、オープンラボの募集が始まった。企画が通れば業務時間の20%を目安に自分の担当外の領域であっても政策を練ることができる。

熱田さんは衛星データを農政に生かすチームを立ち上げ、自分たちでプログラミングした
熱田さんは衛星データを農政に生かすチームを立ち上げ、自分たちでプログラミングした

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1430文字 / 全文2132文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「官僚再興」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。