かつて24時間戦士の象徴だった官僚は、共働き時代への適応が急務だ。国会対応を巡る政治家の意識に難点もあるが、省庁の改革は進み出した。「ブラック批判」もあってようやく進みつつある働き方改革。「不夜城」は変われるのか。

■本連載のラインアップ
霞が関人材クライシス 若手官僚はなぜ辞めるのか
・脱「ブラック霞が関」へ 見え始めた働き方改革の成果と課題(今回)
・立ち上がった民間出身官僚 「個の犠牲」に頼らない霞が関へ再出発
・官僚だってやりたい仕事がある 2割の時間を「本業外」に
・現役官僚覆面座談会「同窓会で給料の話になったらトイレに行く」
・農水省発、官僚YouTuberの挑戦 「等身大の霞が関」を国民へ
・霞が関を出て光る大局観と課題解決術 企業と日本の活力に
・総務省出身のDeNA岡村社長「官僚の総合力、企業経営で生かせ」 など

 4月28日、二之湯智・内閣府特命担当大臣と川本裕子人事院総裁に、係長~課長補佐級の官僚が提言書を手渡した。

若手官僚8人のチームは個々の特色を生かした「カラフルな公務」となるよう、二之湯大臣(右端)と川本人事院総裁(右から2人目)に提言した。(写真:共同通信)
若手官僚8人のチームは個々の特色を生かした「カラフルな公務」となるよう、二之湯大臣(右端)と川本人事院総裁(右から2人目)に提言した。(写真:共同通信)

 「霞が関の仕事が魅力的で、国家のために働くという公務員をどんどん創っていく」。二之湯氏はこう明言した。有志8人からなるこのチームは「人人若手」といい、ブラックと呼ばれてきた職場環境を変えようと活動してきた。

 各メンバーは昨秋から離職者や有識者などにヒアリングを重ね、問題点を抽出した。仕事のやりがいが失われつつあるのを最大の危機と捉え、年次主義によるジョブローテーションではなく、自発的にキャリアを構築できるよう訴えた。

 人事評価の見直し、人手不足でOJT(現場研修)の余裕がなくなっている状況に対応したリスキリングの拡充、業務改革など、その内容は多岐にわたる。

 提言作成に協力したパーソルキャリアの大浦征也執行役員は「従来の官庁のヒアリングと異なって質問の嵐が止まらず、熱量はすごかった」と振り返る。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1206文字 / 全文1986文字

【春割/2カ月無料】お申し込みで

人気コラム、特集記事…すべて読み放題

ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「官僚再興」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。