深夜残業の多いブラック職場、旧態依然とした年功序列型の組織、自己成長の実感が薄い──。悪評が定着した霞が関の不人気は深刻化し、応募者の減少傾向に歯止めがかからない。それでも官僚が今、そして未来の日本を支える頭脳集団であることに変わりない。多岐にわたる関係者と調整し、課題を解決する力は、企業のイノベーションにとっても必要だ。司令塔の地盤沈下が進む国に未来はない。官僚の威信と魅力を取り戻す道を探る。(写真:PIXTA)
シリーズ
官僚再興

全9回
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#1
[新連載]霞が関人材クライシス 若手官僚はなぜ辞めるのか
日本の司令塔、霞が関の中央省庁が深刻な人材危機に直面している。国家公務員の志望者は減少傾向にあり、若手を中心に離職者も増加の一途。旧態依然とした労働環境や社会的評価の低下が、人を遠ざけている。
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#2
脱「ブラック霞が関」へ 見え始めた働き方改革の成果と課題
かつて24時間戦士の象徴だった官僚は、共働き時代への適応が急務だ。国会対応を巡る政治家の意識に難点もあるが、省庁の改革は進み出した。
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#3
「個の犠牲」に頼らない霞が関を 立ち上がる民間出身官僚
霞が関では民間出身の官僚が働き方や風土改革の推進役になりつつある。子育てなど生活を犠牲にしなければならない状況と決別できるか。
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#4
河野太郎氏「霞が関に人材が集まらないことの実害は出始めている」
国家公務員の働き方や風土改革に必要な要素は何か。どこをどう変えるべきなのか。国家公務員制度担当相を務めた河野太郎衆院議員に聞いた。
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#5
官僚だってやりたい仕事がある 2割の時間を「本業外」に
霞が関では働き方改革だけでなく、官僚の「働きがい改革」も急務だ。自分の担当領域以外の仕事に業務時間の20%を使える制度が、農林水産省で導入されている。そこから生まれた成果とは。
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#6
40代官僚「同窓会で給料の話になったらトイレに」 覆面座談会
霞が関で働く官僚は、職場環境や自らのキャリア、民間人材の採用など一連の改革についてどのように受けとめているのか。現役のキャリア官僚3人に集まってもらい、匿名を前提に本音を語ってもらった。
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#7
日本の食糧問題を伝えたい 官僚YouTuberが挑む「ゆるい広報」
国民から遠いイメージもあった省庁の広報戦略が変わり始めた。農林水産省は公式YouTubeチャンネルで、真面目な政策ネタもできるだけユルく仕上げた動画コンテンツを配信。スマートフォンやパソコンの向こうの視聴者に寄り添う官僚…
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#8
メルカリ指数、仕掛け人は経産OB 官僚の「調整力」は企業で光る
官僚の意欲を高める「働きがい改革」には、スキルの明確化が欠かせない。多様な利害関係者をまとめ、複雑な社会課題を解決する力はその代表だ。霞が関を飛び出した人材が示すそのポテンシャルは、日本再興にも欠かせない。
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#9
ベイスターズ再始動は「霞が関での経験が生きた」 DeNA岡村社長
ディー・エヌ・エー(DeNA)の岡村信悟社長兼CEO(最高経営責任者)は、総務省の官僚からIT(情報技術)企業へと転職し、横浜DeNAベイスターズ社長などとしてスポーツ事業の拡大もけん引することとなった。官僚が民間で輝く…
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