因果関係のループが見える管理モデルをつくる
坂野:私たちは『2030年のSX戦略』の中で、SXを実現していくための7つの「型」を提示しました。さらに今後、どのような環境変化が起こると自社がどんなダメージを受け、財務に跳ね返るか。あるいは、非財務要素への投資がどのような時間軸で財務的なリターンとして表れるか。その管理モデルをつくることに取り組みたいと思っています。
磯貝:例えば、従業員エンゲージメントやブランド価値と強い因果関係を持つ非財務要素は何か。それは、企業によって異なります。しかし、理論化されたモデルがあれば、それを用いながら、自社独自のインパクトパスを描くことが今よりもっと簡単に、高い精度でできるはずです。
名和:ぜひトライしてください。因果関係のループが見えてくれば、それぞれの企業が自分で仮説をつくって、検証できるようになります。
坂野:悩ましいのは、日本の経営者からは「その因果関係は本当に正しいのか」「その仮説は証明されているのか」という質問が多いことです。
名和:証明されてからでは遅い。単なる後追いにしかなりません。それも日本の「風土病」の1つかもしれませんね。
坂野:中計病を含めた風土病をなくせるような管理モデルをつくっていきたいと思います。
[日経BOOKプラス 2022年5月24日付の記事を転載]
本書は、2030年ごろまでのおよそ10年の間に、企業とサステナビリティに関して何が起きるのか、「未来の見方」を示した上で業界別に予測し、企業がどこに向かうべきかの具体的指針を示します。「投資判断の考え方」を示す「SXの方程式」や、起こり得る複数の近未来を提示する「シナリオ・プランニング」を使って、これからの10年間を一足先に体感してもらうという野心的な試みをしています(SXは「サステナビリティ・トランスフォーメーション」の略語)。環境・社会課題を解決しながら企業価値を高めていくにはどうしたよいか、本書でお伝えします。
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