変革を続ける日清食品ホールディングス(HD)と安藤家の経営者たちの実像に迫る本連載。前回は独創的・戦略的なアイデアを生み出す場であり、社長の思考プロセスを浸透させる場でもある定例会議についてリポートした。

 今回取り上げるのは、「カップヌードル」や「どん兵衛」などの商品ブランドごとに責任者を配置する「ブランドマネージャー(BM)制」。1990年に導入した制度を、公募方式の採用などで磨き続けてきた。大企業でありながら創業者・安藤百福氏のようなベンチャー精神を持ち続けるための仕組みとして機能させている。

■連載予定 ※内容は予告なく変更する場合があります
(1)産声上げた「もう一つの日清食品をつくる」事業
(2)日清食品・安藤家の系譜 しつこく挑む「七転び八起き」の教え
(3)社長の頭の中を見せる 日清食品の「マーケティング会議」に潜入
(4)日清食品、公募で経営人材育成 「ミニ社長」に託すベンチャー魂(今回)
(5)私が「カップヌードルをぶっ潰す」と言ったわけ 安藤宏基氏の信念
(6)盟友・佐藤可士和が語る 安藤徳隆氏の真の顔
(7)300年続く企業になるための挑戦 安藤徳隆氏が見る未来

(写真:スタジオキャスパー)
(写真:スタジオキャスパー)

 「カップヌードル・シンドローム」――。日清食品ホールディングス(HD)社長・CEO(最高経営責任者)である安藤宏基氏が、かつて社内に危機感を植え付けるために使った言葉だ。

 「看板商品のみに頼った経営ではいずれ会社が衰退する」と考えた宏基氏は、どうすればカップヌードルを打ち倒す実力を秘めた新商品を生み出せるかに頭を悩ませた。そこで行き着いたのが、1990年に導入した「ブランドマネージャー(BM)制」だった。社内でブランド同士を競わせながら商品力を高める狙いで導入した。

 「意思の強さ、精神力、マネジメント力など、総合的な“人間力”を試される非常に厳しいポジション」。日清食品でマーケティング部長を務める藤野誠取締役は、BM制についてこう語る。

ブランドごとに1人の“ミニ社長”

 いわば“ミニ社長”であるBMは、「カップヌードル」や「どん兵衛」など商品のブランドごとに1人。自身が担当するブランドの商品の販売を少しでも伸ばすのが役割だ。

 商品開発や生産、販売促進などに関わる予算を管理し、営業や技術開発、資材、物流などの部長と直接交渉する。売り場を確保するために食品商社やスーパーなどの担当者と交渉することもある。日清食品では営業や技術開発などの部門はBMのサポート役に位置付けられるのだ。

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