「即席麺の殻」を破る3代目

 完全栄養食の事業を率いるのは日清食品HD副社長・COO(最高執行責任者)で事業会社の日清食品社長を務める安藤徳隆氏。創業者・百福氏の孫であり、父は日清食品HD社長・CEO(最高経営責任者)の宏基氏。未来の日清食品HDをしょって立つ1977年生まれの若きリーダーは、「即席麺の会社」という殻を破ろうとしている。

日清食品社長の安藤徳隆氏。創業者である安藤百福氏の孫で、日清食品HD社長の安藤宏基氏の長男にあたる(写真:的野 弘路)
日清食品社長の安藤徳隆氏。創業者である安藤百福氏の孫で、日清食品HD社長の安藤宏基氏の長男にあたる(写真:的野 弘路)

 日清食品はカップ麺やカップライスなど「完全メシ」ブランドの新商品5種を22年5月末に発売すると発表。完全メシブランドの初年度(23年3月期)の販売目標は30億円。24年3月期はさらに販売を拡大し、通期で100億円の達成を目指す。

 百福氏は即席麺を発明し、消費者がおいしいものを手軽に食べられるようにした。日清食品の経営を引き継いだ宏基氏は、「カップヌードル」を世界に届ける巨大食品企業に変えた。それでも、日清食品は依然として即席麺の会社だった。

 徳隆氏は、即席麺の成功体験にあぐらをかいて成長が鈍化する未来を恐れる。新たに挑む完全栄養食は、即席麺や飲料といった既存の食品に新たな魅力を加えるだけでなく、食材やレシピを提供する事業に乗り出すきっかけにもなる。スーパーの弁当や食堂のメニューなど、あらゆる「食」を支える企業に変貌する可能性を秘める。

 「10年ほどの期間で見れば、完全栄養食の事業はもう一つ日清食品をつくるほどの規模になる」と徳隆氏は意気込む。安藤家の経営者はなぜ挑戦者の魂を引き継ぐことができるのか。次回は安藤家3代の物語をひもといてみよう。

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