「全国有志医師の会」という組織がある。訴えているのは、新型コロナウイルスワクチンの接種の即時中止だ。接種の副反応が疑われる死亡例が増加していることなどを受けて、全国の開業医らが集う。名を連ねる医師(歯科医師、獣医師を含む)は約550人。会を率いるのは北海道本別町という人口6400人余りの小さな町の医師だ。

 北海道帯広市の中心街から十勝地方の原野を車で走ること1時間。大豆から小豆まで豆の産地として名高い本別町の中心部に、ほんべつ循環器内科クリニックはある。

 「マスクを取りましょうか」。院長の藤沢明徳医師は診察室にマスクをつけて入ってくる患者にまず、こう声をかける。顔の表情や血色をみないと患者の状態を見極められない上、最近は「(カビの一種である)カンジタ菌が口腔(こうくう)内にいる患者が増えている」ためだという。

 クリニックでは2021年末から新型コロナを季節性インフルエンザと同等の扱いにしている。その後の感染拡大期に多くの医療機関がコロナリスクを恐れて発熱患者の診察を敬遠する中でも、多い時には1日30人の発熱外来の診察を続けた。

ほんべつ循環器内科クリニックの藤沢明徳医師。2021年末から新型コロナを季節性インフルエンザと同等の扱いにしている(写真:箕浦伸雄)
ほんべつ循環器内科クリニックの藤沢明徳医師。2021年末から新型コロナを季節性インフルエンザと同等の扱いにしている(写真:箕浦伸雄)

抗体の「暴走」を懸念

 実は藤沢医師自身、コロナワクチンを一度も打っていない未接種者だ。新型コロナウイルス(感染症)が過去に流行した中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)と同系統で、ワクチンを打っても「ADE(抗体依存性感染増強)」を起こしてしまうとの研究結果が明らかになっており、これに基づいて判断した。

 クリニックとしても患者らにコロナワクチンを接種することを見送った。かかりつけの患者で接種を希望する人には説得を重ね、それでも接種をしたい人にはほかの医療機関をあたってもらうようお願いした。

 ADEとはワクチンの接種によって体内にできた抗体が、何らかの理由によってウイルスの感染や症状をむしろ促進してしまう現象だ。ワクチンの臨床試験は完全には終わっておらず、通常よりも手続きが簡略化された「特例承認」だけだった経緯も接種を見送る判断材料にした。

 今ではオミクロン株はすでに弱毒化しており、感染しても大半が軽症か無症状のため、ほんべつ循環器内科クリニックでは「風邪と同じ扱い。コロナを特別な感染症と見なさないため院内でのマスク着用も自由にした」(藤沢医師)という。

マスクを付けずに患者を診察する藤沢医師
マスクを付けずに患者を診察する藤沢医師

 藤沢医師は自らの判断が正しかったと信じている。厚生労働省に対する、副反応が疑われる接種後の死亡例や重篤な疾患例の報告が増えているからだ。ワクチン接種と死亡との因果関係は医学的に証明されるには至っていないが、その可能性を示唆する研究結果も出てきている(前回記事「コロナワクチン接種後死亡、遺族が集団提訴も 国は因果関係認めず」参照)。

 藤沢医師が懸念するのはやはりADEだ。実際、「接種すれば、感染を防ぐとされる中和抗体だけでなく、感染を増強させる抗体が産出され、ウイルスに感染しやすくなる」可能性が、大阪大学微生物病研究所の荒瀬尚教授や同大の免疫学フロンティア研究センターなどによる研究で明らかになった。その論文は著名な医学誌Cellにも掲載された。

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