兵庫県宝塚市で保健所からの委託を受けノーマスクで新型コロナウイルス感染患者の訪問診療を続ける医師がいる。それいゆ会こだま病院の児玉慎一郎理事長だ。訪問時には感染防護服も着用していない。マスクなしでも患者から信頼され、保健所からの訪問診療の要請はひきもきらなかった。なぜ、ノーマスクで治療にあたるのか。ワクチンも接種しない「けったいな医者」のコロナ禍での活動を追った。

 「ようやく落ち着いてきたなあ」。今春、児玉医師にようやく余裕が生まれるようになった。

 児玉医師は2021年4月から22年5月初めまでの間、1~95歳のコロナ患者約500人を訪問診療。感染者数が急増した21年の「第5波」、22年の「第6波」で市内の病院が病床ひっ迫を起こす中、自宅にとどまらざるを得ない患者宅を東奔西走し、治療に心血を注いだ。診察中、亡くなった陽性反応の高齢患者は1人だけいるが、老衰だったため死因は判然としない。いずれにしてもほぼ全員を救った腕利きの医師だ。

 ノーマスクになったのは第5波の途中からだが、マスクを取ったのにはれっきとした理由がある。それは後から説明するとして、なぜ、児玉医師は訪問診療に駆けずり回るようになったのか。

こだま病院では医師18人、看護師・パート71人が勤務する地域の医療機関だ
こだま病院では医師18人、看護師・パート71人が勤務する地域の医療機関だ

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