若いチームは逆境にもろい

 4年生が、他の学年の「ロールモデル」になり、「あこがれ」の対象になることで、「逆ピラミッド化」はうまく機能します。組織の屋台骨が4年生であるのは明らかです。私が後悔しているのは、実力が少し劣っていたとしても、4年生のレギュラーメンバーをもう少し増やしていたら、チームの「心」の部分が安定し、チーム全体としての力をもっと高めることができたのではないかということです。

 1、2年生が多い若いチームは、勢いに乗ると強いですが、逆境にもろい面があります。大学生は、子どもから大人への過渡期に当たり、下級生と上級生ではメンタル面で大きな差が生じます(個人差はありますが)。4年生を軸にチームを構成すると安定するのはそのためです。

 9連覇中は、試合の途中、相手に点差をつけられて負けていても、最後には必ず逆転するという、フィジカルとメンタルの強さがありました。しかし、2019年度のシーズンは、フィットネスの強化に失敗し、さらに4年生中心のチーム編成ができなかったことでメンタル面の強さも発揮できず、何か誤算があって負けたのではなく、負けるべくして負けた、非常に反省点の多い年でした。

 これも私が指導者として未熟だったからでからであり、卒業していった4年生には、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 ここまでが、王者から陥落した原因の分析です。次回は、組織をどう立て直し、V10にたどりついたかについて述べます。(次回に続く)

日経BOOKプラス 2022年5月19日付の記事を転載]

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岩出雅之(著)、日経BP、1870円(税込み)
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