「コストが上がったから値上げする」。この単純な理由で消費者は納得しない。欠かせないのは、追加の金銭的負担を強いる明快な理由づけだ。新ブランド、新機能、サプライズ。物価上昇時代を勝ち抜く戦略を探る。

「価格競争に勝ち抜くだけでは、お客様の心はつかめない。商品を長く使っていただくためにも、ブランド価値を高める必要があると考えた」。生活家電を手掛けるツインバード工業(新潟県燕市)の野水重明社長はこう力を込めた。目の前にあるのは、全自動コーヒーメーカーとスチームオーブンレンジ。それぞれ「匠プレミアム」と「感動シンプル」という2021年11月に誕生したばかりのブランドを冠した商品だ。
「安ければ売れる」は終わり
事業環境は厳しさを増している。足元では原油やプラスチック、金属といった原材料価格の高騰が進む。それでも22年2月期の売上高は約129億円で、売上高総利益率は前年に比べて1.6ポイント上昇し35.2%となった。家電事業に限れば、23年2月期の売上高総利益率は前期に比べて5ポイント近くの上昇を見込む。背景にあるのが同社が推し進めている新ブランド戦略である。
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