(前回から読む)
値上げラッシュによってモノの値段は上がる一方で、賃金は置いてきぼりの「悪い物価上昇」。夢のマイホームに手は届かず、なじみの食材である味噌ですら高根の花になりかねない。日本経済を侵食し始めたこの病は、個人消費を冷え込ませ、やがて企業収益は悪化する。この負の連鎖を断ち切るには。

負の連鎖による個人消費の冷え込みが現実となりつつあるのが、住宅購入だ。不動産調査のアットホームラボ(東京・千代田)の調査によると、22年3月の首都圏1都3県の新築戸建て住宅価格は、新型コロナウイルス禍の住宅需要も背景に、調査対象の8エリアすべてで17年以降の最高額を更新。東京23区は6399万円でこの1カ月で約100万円、前年同月比でも700万円近く上昇した。建物や土地面積はほぼ横ばいにもかかわらずだ。
「建築に携わって40年。こんなに材料の値段が上がることはなかった。しかも、値上げはまだ続いている」。首都圏で一戸建て住宅の建築を手掛けるジェイホームズ(横浜市)の牧野伸一代表取締役はそう漏らす。要因の一つは21年から続くウッドショックによる輸入木材の高騰だ。
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この記事はシリーズ「絶望物価、負のスパイラルへ」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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