経済学で伸びる会社、伸びない会社

安田氏:企業側で具体的な問題が明確になっていると、経済学のコンサルテーションがうまくいく確率も高くなりそうですよね。

 経済学をビジネス活用するといっても、経済学者に相談さえすれば企業が抱えている問題が一挙に解決するとか、経済学者がすべて問題を把握して解決へと導き、利益が増えたり無駄なコストが抑えられたりする、といったイメージを持たれてしまうと、お互いにハッピーではないと思います。

星野氏:そこまで丸投げされても、恐らく、できることは少ないかと……。

安田氏:ざっくり言ってしまうと、「組織のポテンシャルが最大限に発揮されていない」という場合は、経済学の学知を取り入れるよりも、まず個々のモチベーションを高めてパフォーマンスを上げ、最大限の発揮に近づけていく必要がありますよね。そこではむしろ、経営学的なアプローチが役に立つと思います。

星野氏:利益を上げるための戦略というより、個々がどんなマインドで働くかという組織運営が問われていますからね。

安田氏:一方、「すでにできることはやりきっていて、ポテンシャルが最大限に発揮されている。そこを超えていくには、もう努力だけでは難しそうだ」という場合には、経済学の力でポンと抜け出る可能性が高い。要は、自らの上限を超え、さらにポテンシャルを引き上げていくためにやりたいことが明確であるかどうかで、経済学の学知の生き方が変わってくるのではないかと、星野さんのお話を聞いていて感じました。

 言うなれば、経済学は「目標達成型」ではなく「上限引き上げ型」の学問であり、企業の生産活動の上限であるフロンティアを外へ外へと広げる方向に活用するほうが、筋がいいんだと思います。

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