資源から食品まで、あらゆる産業分野に根を張り、利益を稼ぐ総合商社。業界トップを争う3社を財務で分析すると、それぞれ違う顔が見えてくる。資源に頼らず、小さな事業を束ねる地味な集団。伊藤忠にはそんな側面もある。

■連載予定
(1)伊藤忠の下克上、負け癖払拭した岡藤流「逆張り×統率」
(2)伊藤忠、知られざる「デジタル群戦略」 ライバルはアクセンチュア
(3)「コツコツ型」伊藤忠、資源依存の三菱・三井 財務で見る商社3強(今回)
(4)日立建機出資の舞台裏 なるか「総合」の再定義
(5)岡藤会長インタビュー「慢心すれば、一瞬で落ちる」
(6)「経営者が育つオオカミの集団であれ」OB座談会
(7)「安定成長こそ強さ」鉢村CFOインタビュー

 伊藤忠商事、三菱商事、三井物産による業界首位争いは、「最終利益」をベースにしている。商社本体の利益に連結子会社や持分法適用会社がもたらす利益、出資先の配当などを加え、税金を差し引いて計算したものだ。

 2022年3月期はそれぞれ8000億円超を計画する異例の高水準での首位争いとなっているが、共通するのが「金属資源」が稼ぎ頭であることだ。

 けん引役は鉄鉱石。伊藤忠も22年3月期は2000億円超を稼ぐとの予想だが、残り2社の事業規模はそれを大きく上回る。

 商社最大の鉄鉱石事業を持つ三井物産は1960年代からオーストラリアで開発を進め、2003年にはブラジルのヴァーレに出資。利益全体の金属資源の貢献度は5割を超える。

各社IR資料から作成。各部門の事業内容は厳密には一致しないが、比較しやすいように色分けしている。総資産は2021年12月時点。最終利益は2022年3月期の計画
各社IR資料から作成。各部門の事業内容は厳密には一致しないが、比較しやすいように色分けしている。総資産は2021年12月時点。最終利益は2022年3月期の計画
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 一方の三菱商事は粗鋼生産に必要な原料炭が得意で、豪英資源大手BHPグループと組んでオーストラリアで原料炭を産出し、世界最大級を誇る。

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 両社とも液化天然ガス(LNG)の権益も豊富で、国内の電力会社やガス会社などへ販売している。ウクライナ危機でロシア産のLNG輸入を避ける動きが出て価格は上昇している。両社が参画するロシアの石油・ガス事業「サハリン2」は、岸田文雄首相が「安定供給に貢献しており、撤退しない方針だ」と明言した。

 各社とも資源価格の上昇により金属資源部門の利益が上ぶれるなか、伊藤忠は各部門のバランスのよさで対抗する。

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