小学校という「社会」がつらすぎた川内少年
川内:教科書に『スーホの白い馬』が載っていて、読めと言われて読んで、1行目で私、全部戻してしまって、体内のものを。
松浦:それは逆にすごい。
川内:もう、つらすぎて。
今度は何が。
川内:人から読めと言われて読むのがつらい。そして読んでいる自分も嫌いという。
ああ。『スーホの白い馬』が嫌だったんじゃなくて。
川内:だって内容は全部覚えているんですよね。馬頭琴とか。
お話自体は好きなのに。
川内:それが嫌なんじゃなくて、もう枠にはめられたなという感じが。もう無理と思って。だめでした。教科書は読まずに捨てました。何度も川に。
岡崎:川に? 捨てちゃうんですか?
川内:そうなんですよね、よくないですよね。それで家の親たちには「学校にあるから持っていくものはないんだよ」と言って、学校の先生には全部家にあると言って、いつもランドセルは空です。
空っぽで。
川内:軽くていい。ばあちゃんに買ってもらったランドセルだけはちゃんと背負って行かないと、罰が当たりますので。
松浦さんは制度への服従への反発心、というのはなかったんですか。
松浦:あったかも。
別の意味で危うく小学校をスルーしようとされたご経験がおありと。
川内:そうなんですか。
松浦:言ったっけ、俺、そんなこと。
お聞きしましたよ。小学校入学前に教科書を全部がーっと読んじゃって、授業が退屈で退屈で、ああ、もう来るのやめようかなみたいな感じになっていたと。
川内:すごい。そんな経験は一度もないです。
教科書を読まずにほかのものを読んでいたんですよね。
松浦:そうそう。授業中はほかの本を読んでいた。
生意気なガキですよね。
川内:いやいや、クレバーということですよ、すごいな。
松浦:それで何か訳の分からない検査に連れて行かれて。
そんなことあったんですか(笑)。
松浦:うん。どうも自閉症と疑われたらしくて、検査を受けて「まあ、大丈夫です」とお墨付きをもらって。
川内:大丈夫だったんですね。よかったです。
そんな松浦少年をある女性の先生が救ってくれたんですよね。
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