ここからは、母の入居したグループホームの話となる。

 私の母が入居したグループホームは、設置基準の上限である2ユニット18人が入居する規模だった。最初から18人規模のグループホームとして使用する前提で建築された建屋を使用している。入居に当たって見学したグループホームの中には、既存の建物を改装したところもあった。そういうところは、ユニット数や1ユニットの人数が少ないこともあるようだ。

 建物は入り口を中心に東と西のユニットに分かれている。母は西ユニットの入居だ。それぞれのユニットは共有スペースのダイニング兼用リビングが中心にあり、それを取り囲むようにして各居住者の個室が配置されている。床は段差のないバリアフリーで、汚した場合に備えて全面防水。これだけでも一般家庭とは段違いだ。もちろん風呂とトイレは介護に対応した設備を備えている。

 スタッフ数は時によって1人増えたり減ったりはあったが、基本的に1ユニット9人の18人体制を維持している。入居者1人につき1人だ。1ユニット9人の内訳は、介護計画を作成し、管理するケアマネジャーが1人に、そのユニットのリーダーが1人、介護スタッフが7人である。

 その他に看護師が1人いて、入居者の体調管理を行っている。また、毎週1回かかりつけ医が回診して、投薬や専門医に掛かるべきかなどの指示をする。

どう考えても重労働

 入居者1人にスタッフ1人という体制は、家庭で自分が母を介護していたときと同じリソース配分だ。が、1人に1人と、9人に9人では、全く状況が異なる。9人に9人なら、負荷が増えた時に分担することができる。1人に1人なら、何かあれば破綻するしかないが、9人に9人なら協力して乗り切ることができる。しかもその9人は、素人ではなく、きちんと介護の教育を受けたプロだ。

 最初は「なるほど、手厚いものだ」と感心した。
 が、せっせと通って、スタッフの方とも話をするうちに、これは「大変な仕事だ」と考えを改めざるを得なかった。

 まず、9人が常時9人に張り付いているわけではない。スタッフもそれぞれに家庭の事情があって「この曜日なら働ける」というような条件付きで働いていたりもする。実際問題として昼間は早出と遅出の2シフト、さらに夜勤が入るとなると、これは「昼間は3人につき1人、夜勤は1ユニット1人」という基準を満たしてシフトを組むのには、かなりの苦労があるだろう。

 特に1人で9人の介護を担当しなくてはならない夜勤は、はっきりと重労働であろう。入居者は寝ているとはいえ、必要に応じてトイレを手伝い、時には体の利かない入居者のリハビリパンツの交換を行い、粗相があれば掃除もしなくてはならないのだ。

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