この連載では、新規事業開発アプローチとして6つのパターンを紹介してきました。今回は、オープンイノベーションにおける事業開発アプローチについてお話しします。

新規事業開発アプローチの6パターン
新規事業開発アプローチの6パターン
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 オープンイノベーションで「顕在化した市場/顧客の需要に対して短期的に対応する」場合には、④M&A(合併・買収)/マジョリティー投資などのアプローチが有効です。

 既にある程度の事業的な成果やその兆しが見えている「隣接領域」や、比較的不確実性の低い「周辺領域」に該当する企業・事業をM&Aやマジョリティー投資によって自社内に事業成果を取り込むケースに加え、自社単独では進出が困難な「革新領域」への足がかりにしたり、競合や脅威の排除のために採択したりすることもあります。

 事業的な成果を得るための時間を大幅に短縮し、買収先の企業の経営資源を丸ごと自社に統合・結合できる可能性がある一方で、投資額が大きく、統合後のマネジメントが高難度になり、想定していた成果が出なかった場合には、減損処理が必要になるリスクなども存在します。そのため、実行に当たっては経営陣が自ら、もしくは投資や買収をミッションとする専門部署や経営企画、または対象企業と親和性やシナジーが見込める事業部のトップなどが主導する形になります。

 オープンイノベーションを通じて「未来の社会起点で発想し、潜在的な市場/顧客の需要に対して中長期で対応する」場合には、不確実性が比較的高い「周辺領域」や「革新領域」の企業や事業を主な対象に、⑤マイノリティー投資/CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)や、JV(共同企業体)/提携などのアプローチが適しています。

 ある程度の高い見込みがあり、事業推進に対しての権限や強制力を持ちたい企業に対しては、企業本体か系列のCVCを通じてマイノリティー投資を実施します。事業シナジーが見込める「周辺領域」の場合は企業本体から、事業シナジーが見込みにくい「革新領域」であればCVCを通じた投資が適切な可能性が高いといえます。

 見込みが未知数で、資本参加するほどの期待値が持てない企業や事業に対しては、まずは提携やアライアンス、共同事業や共同開発などを提案するのが有効です。共に今後の事業展開を検討し、関係性を構築しながら、より効果的な経営資源の統合・結合の座組みやスキームを模索していきます。

 また、オープンイノベーションで事業成果のみを追求するのではなく、事業開発と並行して組織や人材の強化・育成につながる仕組みづくりを狙うなら、⑥のアクセラレーションプログラムやピッチイベント/ハッカソン・アイデアソンなどのアプローチが有効です。この場合、③の新規事業プログラムなどと同様に一定の期間を設定した上で、ベンチャー・スタートアップなどの外部から提携案や事業案・アイデア、技術などを公募します。

 例えば、アクセラレーションプログラムの場合なら社内と社外のメンバーが同じチームとして共同で事業構想を検討したり、メンターとして関わったりしながらオープンイノベーションの可能性について議論したりして、事業プランを作り上げていきます。このプロセスの中で社内のメンバーに対して事業開発の経験を積ませられるだけでなく、外部メンバーの異なる経験やスキル、価値観や考え方に触れることで視野を広げ、知の探索を促進する効果も期待できます。

 そして最終的には、共同で実証実験や概念検証(PoC=Proof of Concept)を進めながら、提携や投資などの具体的な事業成果を追求するためのアプローチへと移行していきます。

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