前回、新規事業開発アプローチとして6つのパターンを紹介しました。今回は、アプローチそれぞれの項目についてひもといていきましょう。

新規事業開発アプローチの6パターン
新規事業開発アプローチの6パターン
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 「自社(内部)の経営資源の転用・拡張で優位性を構築するクローズドイノベーション」は、取り組もうとしている新規事業における優位性を構築するにあたり、自社の経営資源の活用や転用、強化・拡張によって実現するアプローチで、自社単独・自前主義で事業開発を行うことを指します。

 自社内で完結するクローズドイノベーションで「顕在化した市場/顧客の需要に対して短期的に対応する」場合には、日ごろから事業の最前線で現在の顧客との接点を持ち、顕在化した需要を捉えやすい事業部の現場メンバーが主導する①ボトムアップ型新規事業開発のアプローチが適しています。そして前述の領域でいうと、「隣接領域」や「周辺領域」が主な対象です。

 一方、「未来の社会起点で発想し、潜在的な市場/顧客の需要に対して中長期で対応する」場合には、不確実性が比較的高い「周辺領域」や「革新領域」を主な対象に、中長期の目線で大規模な投資を続けるための裁量や権限が必要になります。つまり必然的に、②トップダウン型新規事業開発やカーブアウトなどのアプローチが良手になります。

 経営トップや経営層が自ら主導するプロジェクトチームか、もしくは新規事業の創出をミッションとする専門部署や社長直下の新規事業企画室などで経営トップから権限委譲を受けて大きな裁量を持ったミドルマネジメントや子会社・グループ会社の経営陣が主導することで、成果につながりやすくなります。

 また、クローズドイノベーションにおいて事業成果のみを追求するのではなく、事業開発と並行して組織や人材の強化・育成につながる仕組みづくりを狙う場合には、③新規事業創出プログラムや社内ベンチャー制度、社内ビジネスコンテストなどのプログラムを運営するアプローチが適しています。経営企画部や人事部、もしくは部署を横断したプロジェクトチームとして立ち上げられた事務局などが主導するのが一般的です。

 一定の期間内で複数のプロジェクトやチームが一律で新規事業開発のプロセスの理論をインプットし、実践を経験するサイクルを定期的に回すことで、知見やノウハウの蓄積や形式知化という効果も期待できます。ただし、事業成果の追求を加速させる場合には、事業やチームに合わせた個別最適化された活動が重要になりますので、事業の進捗やフェーズに合わせてボトムアップ型やトップダウン型・カーブアウトなどへの移行を検討する必要があります。

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