イノベーター人材の要件や定義を明確にした後は、その定義に該当する人材を見極めて発掘し、新規事業に任命して配置する必要があります。

 実際の新規事業開発の現場では、このイノベーター人材を発掘し、配置できていないことが課題として浮上しています。

 では、どのようにしてイノベーター人材を発掘・配置していけばよいのでしょうか。ポイントは「志向性」で、候補人材の母集団を把握し、そこから「資質」で見抜くことです。

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 「志向性」については、大きく2つの観点があります。

 1つは、本人が新規事業に取り組むということに対して自律的な意思表明や行動をしているかどうかという観点です。例えば、「新規事業創出プログラムやビジネスコンテストにアイデアを応募した経験がある」「業務外の時間を使って興味のある分野や領域について調査や研究を進めている」「趣味で本業とは別の事業やアイデアに取りかかっている」「新規事業関連のイベントや勉強会などに参加し、コンテンツを閲覧・視聴している」などです。こういった兆候を見逃さないために、企業は従業員の潜在的な志向性を表出させ、把握するための場や仕組みを作ることが重要です。

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 2つ目が、その人材が新規事業に取り組むモチベーション(動機付け)と、その際に何を重視するかという観点です。企業がすべてを把握することができるかどうかは別として、新規事業に対して自律的な意志や行動が伴っている人材が「なぜ新規事業に取り組みたいと思うのか」「その中で何を重視する価値観の持ち主なのか」という軸によって、志向性を判断する際の参考にします。下の図表をご覧ください。

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 縦軸は新規事業に取り組むモチベーションのタイプを、横軸は重視する観点を表しています。縦軸は大きく分けて、「ビジョン」や「Will(やりたい)」を重視するタイプで、主に「自分がやりたいことや描いている未来や世界を実現したいという想いが源泉になっているか」、もしくは「ミッションやMust(やらねばならない)/Should(やるべき)/Can(できる)などを重視する貢献意識や使命感が源泉になっているか」で区別する軸です。

 一方、横軸は「プロセスよりも成果や業績を重視し、それによって会社や周囲の人から称賛を受けることを大事にする傾向が強いか」、もしくは「成果よりもプロセスを重視し、自分が楽しめるか、成長できるかを大事にする傾向が強いか」を表しています。

 これらは、どちらがよいとか優れているという話ではありません。傾向を把握することで、イノベーター人材のタイプに合わせた適切な支援や具体的な施策を検討する際に活用するのが狙いです。ある調査結果によると、横軸に関しては業績重視の人材よりも、プロセスや成長を重視する人材のほうが新規事業の成功確率が高まるというデータもあります。