若者の酒離れがサウナブームの背景に?

サウナでなくてもいいけれど、リセットとリラックスできる場は誰しもが持っておくべきだということですね。

川邊氏:そういうことです。自分なりのそういう場をつくっておきたい。特にサウナは体を使うので、リセット&リラックスをする場としての効果は高いのではないかと思っています。

なぜ今、サウナがここまで盛り上がっていると分析していますか。

川邊氏:若い人がお酒を飲まなくなってきていますよね。お酒もまた有効な親睦のツールで、リセットとリラックスの手段の一つでもあります。でも飲まない人が増えてきた結果、サウナがその代替手段になっているという側面はあると思います。

 あとはモノ消費からコト消費へ、という流れがある中でサウナは一回一回がドラマチックです。熱くて、冷たくて、と苦しいことをして、それを乗り越えるといわゆる「ととのう」と言われているような感覚を味わえる。そして終わった後はみんなで「オロポ」(大塚製薬の「オロナミンC」を「ポカリスエット」で割った、サウナ好きに人気のドリンク)を飲む、みたいな。体験型の消費行動です。温泉は遠出しないとなかなか楽しめませんが、サウナなら近場で楽しめます。

1人で入っていても、体調によってサウナに入り続けられる時間が短くなったり長くなったりと変化がありますよね。そうした日々の変化を感じられる場が身近にあることに多くの人が気付き始めた。

川邊氏:最近は本当にブームになっていると実感します。「最近よくサウナに入るんです」と僕に話しかけてくる人も増えました。「あんなに気持ちいいものがあるなんて知らなかった」なんてことを言ってくる人もいます。まあでも、お風呂が嫌いな日本人ってあまりいないですよね。身近にあったものなのに多くの人は(その魅力を)知らなかった、でもついに見つかった、ということなのではないでしょうか。

川邊さんにとって「ととのう」とはどんな感覚でしょうか。

川邊氏:つらいこと(サウナや水風呂)を耐え、その後に訪れる体の芯から湧き上がるようなリラックス効果、といったところでしょうか。他にない感覚ですよね。マッサージが終わった後の感覚に少し似ている気はしますが、体験してみるしかないですね。

サウナに入っている間はつらい、という感覚は「ベテラン」の川邊さんにもあるんですね。

川邊氏:熱いなあ、つらいなあとは思ってますよ。でもこれがいいんです。日本は(温度が高くないと汗をかきづらい)ドライサウナが多いので、その熱さに尻込みする人も多いとは思いますが、ウエットなサウナなら70~80度でも十分汗をかけて、その分つらさは軽減されると思います。

 先ほども言いましたけど、大変なことやつらいことが多いこの世の中で、それをリセットしたりリラックスしたりしないで生きていけるほど、幸せな環境にいる人はそういないはずです。皆さんも一度サウナを体験してみると良いのではないでしょうか。

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